スパコンで汚染物質拡散をリアルタイムで予測!計算速度が10倍以上に
原子力機構などが開発
日本原子力研究開発機構や東京大学、東京工業大学の研究グループは、スーパーコンピューターを利用し、リアルタイムで高精度に汚染物質の広がり方を予測できる手法を開発した。汚染物質拡散用の解析ソフトウエアを高度化し計算時間を短縮。数キロメートル四方の都市内の数メートルの細い路地での汚染物質の拡散を捉えられた。放射性物質の拡散解析に基づく核テロ対策やスマートシティー(次世代環境都市)の設計などへの応用が期待される。
研究グループは、グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)のスパコンに適した計算手法の一つ「格子ボルツマン法」に基づいた汚染物質拡散ソフトを開発。計算速度を10倍以上に高めた。さらに都市の風の流れが乱流状態になる建物の周りだけに細かな計算ができるようにし無駄を省くことで、従来手法に比べ計算量を10%以下に削減。原子力機構のGPUスパコンを利用し、東京都市街区4キロメートル四方を対象にした2メートルの解像度で、リアルタイムの汚染物質拡散シミュレーションを実現した。
日刊工業新聞2021年1月29日