コロナ禍でもぶれない東ソー、汎用品と高機能材のバランスが強みに

東ソー社長・山本寿宣氏インタビュー

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東ソー社長・山本寿宣氏

―2021年のポイントは。

「半導体や自動車の回復などは好材料だが、新型コロナウイルス感染症次第で状況は変わる。収益確保を重視し、原料価格の変動に合わせた値上げなどのやるべき施策を粛々と進める。また人材育成は顔を合わせることが重要だと感じており、感染拡大が収まれば働き方は一度元に戻したい」

―コロナ下でも20年度売上高営業利益率見通し8・6%と、体質強化が進みました。これを土台に、次は何に挑戦しますか。

「コモディティー(汎用品)と高機能材などのスペシャリティーを両軸とする『ハイブリッドカンパニー』の方針を続けつつ、研究成果を形にしてスペシャリティーの割合を増やす。営業利益10億円前後の事業を複数そろえたい。セラミックスのようなデファクトスタンダードをいくつ作れるかが勝負だ」

―四日市事業所と南陽事業所の新研究棟建設など、研究開発の強化を進めています。

「新研究棟ではデスクワーク場所の集約や電子ノートの導入を行い、情報共有しやすい仕組みも取り入れた。研鑽(けんさん)をしてほしい。人工知能によって新素材開発を効率化する『マテリアルズ・インフォマティクス』は、東京研究センターを中心に動き始めた。全分野の研究を加速させる」

―各事業の取り組みは。

「ビニルチェーンの成長に向けた塩化ビニル樹脂(PVC)の新拠点設置は引き続き検討する。ポリマーは特殊品を増やして利益を維持し、米シェールガス由来の一般品の流入影響を減らす。第5世代通信(5G)向けには、半導体製造装置に使われる石英ガラスの拡大を期待している。バイオ関連は、新型コロナ検査試薬の受注対応や開発を推進する」

―政府が50年カーボンニュートラルを目指すと宣言しました。

「環境規制をにらみ、バイオマス発電などの実現可能な施策を実行するともに、二酸化炭素(CO2)からウレタン原料を作るといったCO2有効利用の研究を急ぐ。ただ、現段階でCO2ゼロは技術面だけでなく、資源のない日本の競争力維持の面からも難しい。再生可能エネルギー由来電力の状況を注視する」

記者の目/ぶれない姿勢で新玉出す

新型コロナやデジタル技術で社会や顧客産業が変わる中、山本寿宣社長は「基本方針は変えない」と語る。必要な素材を提供する役割に集中した施策と、汎用品と高機能材のバランスが同社の強さの理由だ。ただ、顧客産業が変われば高機能材も一定の周期で入れ替わる。ぶれない姿勢で研究開発から新しい玉を出し続ける必要がある。(梶原洵子)

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