政府がロボットのバイオ分野導入を推進、研究者の代替で安定化を目指す
経済産業省はバイオ分野に関する研究開発や製造の高度化に向けて、ロボット化や自動化を推進する方針を打ち出す。研究者が手作業で進めることで実験結果の再現性や効率性などが低下する課題に対し、モジュール化した環境の構築や汎用ロボットの導入などを通じて安定化を図る。効果的な領域を特定しながら可能性を探り、将来的に企業や研究機関などの現場における普及拡大を目指す。
ロボットの汎用化に向け、人が介在する状況を最小限にするための要素技術の開発に取り組む。オーダーメードで高コストになりやすい現状に対し、作業手順の確立や器具や装置など環境面の規格化、導入マニュアル策定などを通じて量産化や低コスト化が可能な体制を構築する。
定型化された作業における自動化装置の開発や普及への動きも進める。分注や解析、検査、発酵など単純作業によって効率低下につながるプロセスを中心に可能性を探る。自動化により、コロナ禍を機に必要性が高まっている遠隔・非接触で実験や製造が可能な環境の実現も見据える。
方針は26日に開くバイオ分野関連の有識者会議を踏まえ、取りまとめ内容にコミュニティ形成や人材育成とともに盛り込む。2022年度をめどに導入可能性調査や実証などを開始し、ニーズに基づいた標準物質の整備に関する検討も進める。
バイオ分野の研究や製造は個体差の大きい生物を対象として扱うため、他分野と比べて実験結果の不安定さや再現性の低さなどの課題を抱える。病原体など危険が伴う研究も多く、実験や製造が可能な環境の制約もかかる。コストの高さや作業環境を改良する手間などから、現場でのロボットや装置の導入効果が認識されにくい事情もある。そうした障壁の解消を進め、研究や製造に関する高度化や加速化を図る。
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日刊工業新聞2021年1月19日