「防爆」特化の制御機器を開発する佐賀市の中小企業、顧客は世界20カ国以上・500社に

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製品の多くがオーダーメードとなる。本社工場での製品チェック
防爆仕様のパソコン(中村電機製作所提供)

IoT向け中小に普及

石油、可燃性ガスを扱う工場やプラントでは、電気機器のスイッチから発生する火花による引火や爆発の危険性がある。そのような事故を防ぐのが「防爆」技術だ。着火しても外部に影響しないようにしたり、着火自体を起こさない構造にしたりする。中村電機製作所(佐賀市、中村信夫社長)は、防爆に特化した制御機器などを手がける。

【幅広い業界対応】

戦後まもなく始めた鉱山向け製品から工場向けにシフトした。現在では石油や電力、ガス、化学、製鉄といった多くの業界で製品が使われる。顧客は20カ国以上に約500社。製薬や食品関連の取引先もある。

製品はオーダーメードが主体。着火の可能性のある物質は複数あり、想定を必要とする温度も幅広い。新エネルギーとして注目される水素もその一つ。製品が考慮すべき要素は多く、「ニッチなので大手は手を出さない」(中村社長)という。

豊富な実績とノウハウを生かしてユーザーのさまざまな要求に応じ、機器の仕様や使われる場所に合わせて設計、製作する。防爆が求められる照明やパソコン、表示器、スピーカー、バーコードリーダー、カードリーダーなどもラインアップにある。

製品が法令に基づく検定を受ける際には、関連する業務も手がける。海外で使う場合は現地の規定にも対応する。それらを含め、防爆に関することならどんな相談にも応じる。

【3種類手がける】

防爆には大きく分けて耐圧防爆、内圧防爆、本質安全防爆の3種類あり、中村電機製作所はすべて手がける。

「耐圧」は着火源を鋳物などの強固な箱で覆い、万が一、着火しても外部に出さない仕組み。箱の厚みがポイントになる。安全を保ちながらも製品が不必要に大きく重くなるのを避けて施工性や設置スペースを考慮する。

「内圧」は箱の内部に空気などを供給し、気圧を外部より高くすることで可燃性気体が侵入するのを防ぐ。耐圧で対応しにくい大きさの配電制御盤などで採用している。

「本質安全」は箱で覆うのではなく、発生する火花を引火するエネルギー以下になるようにシステムを構成する。回路設計から扱う必要があり、箱で囲えない温度センサーなどに使われている。

IoT(モノのインターネット)の普及で需要拡大が見込まれる各種センサー。同社には市販のセンサーを使って防爆仕様にできないかという相談が持ち込まれることもある。そのため、耐圧と本質安全を組み合わせたIoT向け防爆センサーの提案準備を進める。

防爆機器は大手企業では普及しており、今後は中小企業に向けた拡大を見込む。最近はコンプライアンス(法令順守)の一環から、大手企業が取引先に安全対策の強化を求める傾向が強まっている。展示会などで防爆に関心を示す中小企業が増えているという。そのような企業に対しても「安全を約束するメーカー」(中村社長)として防爆で安全・安心に貢献していく。(西部・関広樹)

日刊工業新聞2020年1月18日

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中村電機製作所

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