「就活に生きた!」理工系学生科学技術論文コンクール最優秀賞者のその後

【学生応援】ニューノーマルに生きる君たちへ #06

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第14回コンクール贈賞式で表彰される西村さん(2014年3月24日)

日刊工業新聞社が主催する「理工系学生科学技術論文コンクール」では、過去に入賞した学生の多くが現在、社会に出て活躍しています。前回は2020年コンクールで入賞した2人を紹介しましたが、今回は13年に、当時徳山工業高等専門学校の4年生として最優秀賞(文部科学大臣賞)を受賞した西村礼貴(あやき)さんにその後を聞きました。

西村さんは、大学院への進学・卒業を経て19年4月に安川電機に入社し、現在は福岡県を拠点に仕事をしています。

-現在の仕事内容を教えてください。
 産業用ロボットのメカ設計や開発を行っています。高専時の研究内容は電気系が専門でした。大学院では機械系の研究が中心で、ロボット機構の研究や機械設計を行っていました。(学生時代は)一貫してロボットを研究していたので、広い意味で(現在)は学生時代の研究内容に沿ったテーマを手がけています。

-受賞当時の周囲の方々の反応はいかがでしたか。
 この論文コンクールに応募する前、高専3年生の時に(学生を対象としたビジネスプランコンテストである)「キャンパスベンチャーグランプリ」で入賞(佳作)しました。その印象が強かったのか、はじめは「次は何をもらってきたの」という感じでした(笑)。ただ、最優秀賞だったので、そのインパクトは非常に大きく、副賞として20万円をもらったこともあり、大騒ぎでした。キャンパスベンチャーグランプリの佳作の副賞が2万円ですから、その10倍ですね。

-「文部科学大臣賞」のインパクトは大きかったですか。
 (高専の)先生から電話で連絡をもらった時は友達とボウリングをしていたんです(笑)。その時はまさか最優秀賞とは思わなかったので、その後に聞かされて驚きました。贈賞式で東京のホテルに招待してもらったことはもちろんですが、あの盾(文部科学大臣賞)と、紙ではない立派な賞状を見たときに、すごい賞をもらったと思いました。今も実家に飾っています。

-進学・就職時にこの受賞の影響はありましたか。
 いちばん大きかったのは就職活動の時です。面接やエントリーシートで自分のストーリーを話すとき、賞の履歴があるため、困ることはありませんでした。就活時に改めて自分の学生時代を振り返ったときに「自分には何もないな」と悩む人が多いと思いますが、僕は悩むことはなかったです。

福岡のご自宅でインタビューに答える西村さん(取材はオンラインで実施)

-受賞論文のテーマは「新しい商品開発のできる『ものづくり技術者』の育成方法」でしたが、今の仕事につながっていますか。
 はい。「どういったものが売れるのか」という課題を意識しながら製品開発する力は非常に重要だと思います。今の自分にもまだまだ足りないと思っているので、今も絶えず探求しています。大学院の研究室はなんでも作れる環境だったため、「つくる」ことは学生の間にやり尽くして(実現の)ハードルは下がりました。ただ、「売れるモノは何か」という課題は、なかなか答えが見つからないため、難しい気がします。おそらくこの部分は一生、勉強することになると思います。

-今後実現したい目標はありますか。
 将来、自分が設計・開発したロボットが、顧客のところに納入されて動いて、役に立っているというところまで見届けたいなという思いを持っています。それが何年後になるかはわかりませんが、これは高専の頃からあまり変わらない夢ですね。

―これから論文を書こうとしている学生にメッセージをお願いします。
 自分の考えをまとめて論文にする、という機会は理系の学生には意外と少ないので、挑戦するだけでもとても価値があると思います。賞が取れたらもちろん良いですが、自分の思いをぶつけるチャンスになります。今は新型コロナウイルス感染拡大の影響で今までは見えなかった問題点などがたくさん浮き彫りになっていると思います。この半年ぐらいに急ピッチで変化してきたものは、おそらく今しか書けないものだと思います。会社で研究・開発職だったとしても、論文を書くことはないですし、時間を気にせずに研究して、それをまとめることができるのは、学生の間の特権だと思うので、ぜひ挑戦して欲しいです。

【西村礼貴さんの略歴】2015年徳山工業高等専門学校機械電気工学科卒業、17年同専攻科機械制御工学専攻卒業、19年東北大学大学院情報科学研究科応用情報科学専攻卒業、同年安川電機入社。受賞歴はキャンパスベンチャーグランプリ中国佳作、理工系学生科学技術論文コンクール最優秀賞・文部科学大臣賞、日本学生支援機構優秀学生顕彰優秀賞、高専機構理事長特別表彰など。

「理工系学生科学技術論文コンクール」応募のススメ

理系の学生はかつて、大学や高等専門学校における専門の学びをしっかりしていれば評価されましたが、時代は大きく変わってきました。創造性、コミュニケーション力、課題突破力…。多くのものが求められて大変です。そこで、これらの総合的な力を伸ばす手立てとして、小論文を書くという活動に取り組んでみてはどうでしょうか?

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