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文章を書くって面白い!「理工系学生科学技術論文コンクール」入賞者たちの今

【学生応援】ニューノーマルに生きる君たちへ #05
文章を書くって面白い!「理工系学生科学技術論文コンクール」入賞者たちの今

2020年コンクールで最優秀賞(文部科学大臣賞)を受賞した石原実奈さん

日刊工業新聞社は「理工系学生科学技術論文コンクール」をこれまで20回開催してきました。歴代の受賞者の多くは現在、社会に出て活躍しています。そこで過去のコンクールで入賞した人たちの今を、これから2回にわたり紹介します。初回は2020年コンクールの入賞者2人。応募のきっかけや受賞後の反響のほか、コンクールに応募しようか悩む学生の皆さんへの激励のメッセージももらいました。

新聞で取り上げられて嬉しかった

最優秀賞(文部科学大臣賞)を受賞した石原実奈さん(受賞当時・福井大学大学院工学研究科 修士課程1年)は現在も福井大大学院で研究に勤しむ毎日を送っています。

―コンクールに応募したきっかけは。
 先生からチラシを見せてもらい応募を勧められたことです。テーマの自由度が高く、自分の思ったことを書けると感じ、挑戦しようと思いました。学術論文では似た分野の人としか交流できない傾向がある中で、「理工系学生科学技術論文コンクール」はいろいろな研究分野の学生さんの考えや思いに触れられるかもしれないという点も魅力に感じた理由です。過去の入賞論文を全部読んだのですが、色々なアイデアや発想、着眼点などの内容が多彩で挑戦のしがいがあると感じました。最優秀賞をもらって、受賞後に色々な人から「おめでとう」と言ってもらえた時に賞の重みを初めて実感しましたね。

-現在も大学院に在籍していらっしゃいますが、受賞後の学生生活はいかがですか。
 4月から6月は新型コロナの影響でほとんど家にいました。研究室にも行けず漠然とした不安はありましたが、7月以降は徐々に再開し、今は通常通り研究室に通っています。授業はオンライン講義が多いようですが、私は昨年までに卒業に必要な単位を取得していたので、あまり大きな影響はなかったです。

―卒業後の進路を決める上で論文の入賞は影響しましたか。
 受賞する前から、自分の中では研究の道に進もうという気持ちが固まりつつありました。ただ、家族などからは「普通に就職しては」と反対されることもありました。その中で、コンクールで入賞したことは自分にとって大きな自信になりました。新聞に取り上げられたというのもとても嬉しかったです。このまま今の研究室にとどまり、研究がうまく進めば留学も検討したいと思っています。

―これから論文を書こうとしている学生さんに激励のメッセージをお願いします。
 学生さんには、若い今だからこそ書ける文章というのもあると思うので、是非挑戦して欲しいです。

書くことで身につくスキルはとても多い

一方、特別賞を受賞した志垣沙灯子さん(受賞当時・和歌山大学大学院システム工学研究科 修士課程2年生)は3月の卒業後に上京し、日立製作所に入社。4月から新社会人として活躍しています。

-日立製作所に入社した理由は。
 「あれば良いな」ではなく「無いと困ってしまう」と言えるぐらい人間の生活に根付く社会貢献度の高い仕事をしたかったからです。日立製作所ならばそれを実現できるのではないかと思いました。

-入社時期に緊急事態宣言が発令されましたが、不安はありませんでしたか。
 4月の入社式は中止になりました。学生から社会人への境目は入社式だと思っていました。それがなくなったことで社会人になった実感が持てないままの状態が長く続きました。8月頃まではずっとリモートで研修。最初は知識を詰め込むことが多いので、気持ちとしては学生の延長戦のようでした。ほとんど仕事で外へ出ていくこともなく、現場に初めて出たのは9月です。入社と同時に会社の寮に入ったのですが、ひとり暮らし自体が初めてだったこともあり、かなり鍛えられましたね。

特別賞を受賞した志垣沙灯子さん

-「理工系学生科学技術論文コンクール」に応募したきっかけは。
 学内にポスターが掲示されていて、それを見つけてやってみようと思いました。実はもともと文章を書くことは苦手でした。そのことが悔しくて「文章の書き方」を勉強しているうちに、書くことが楽しくなりました。自分の文章を読み返したときに、うまくまとめられているなと思えた時の感覚がとても好きです。書くことはもちろんですが、文章を推敲することが好きですね。自分の思いを100%乗せられたと思えた瞬間がとても嬉しいです。

―苦手なものを克服しようとするうちに、楽しさを知ったのですね。
 研究もはじめは分析や考察の意味がわからず楽しくなかったのですが、「こういう考え方はとても面白い」といった今までにない考え方を発見することがとても楽しく感じるようになりました。論文を書くことが嫌いな人は、それ自体が苦手というより、その楽しさを知るきっかけがなかっただけで、知ったらもっと書きたくなると思います。そういう機会をぜひ見つけてほしいです。コンクールはそのための良い手段だと思います。

-これから論文を書こうとしている学生さんに激励のメッセージをお願いします。
 「書きたい」という思いがあれば、とにかく挑戦して欲しいです。書くこと自体で身につくスキルはとても多いと思います。論理的思考力はもちろんですし、日本語の力がとても身につきます。そういうスキルアップができるのも、論文ならではだと思います。社会人になってからは、論文を書く機会はなかなかないと思うので、コンクールに応募する権利がある学生のうちに、どんどん書いてみて欲しいですね。

「理工系学生科学技術論文コンクール」応募のススメ

理系の学生はかつて、大学や高等専門学校における専門の学びをしっかりしていれば評価されましたが、時代は大きく変わってきました。創造性、コミュニケーション力、課題突破力…。多くのものが求められて大変です。そこで、これらの総合的な力を伸ばす手立てとして、小論文を書くという活動に取り組んでみてはどうでしょうか?

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