積水ハウスが中国事業の投資を終えるワケ
積水ハウスは中国事業の投資戦略を見直す。中国で手がけているマンションと戸建住宅の販売を2022年度をめどに完了次第、新たな投資をしない方針。現地で経営のコントロールが難しいことが背景とみられる。今後は米国や英国、豪州などに注力し、海外事業を伸ばす。
積水ハウスは米国、豪州、英国、シンガポール、中国の5カ国で海外事業を展開する。10年に中国事業を始動し、12年から現地でマンションと戸建住宅の販売を開始。瀋陽市に鉄骨住宅用工場も立ち上げている。
中国での販売計画戸数は計6728戸。20年10月末時点で仮契約を含めて約6300戸を販売した。残る400強の戸数は22年度までに販売完了を目指す。
同社の21年1月期連結決算における海外事業の売上高は3500億円の見通し。うち中国事業は870億円と約4分の1を占める見込みだ。
仲井嘉浩社長は「高断熱性や耐震性の技術が生かされる中高級路線の国へ事業を展開する」とし、米国、英国、豪州を重点市場に位置付ける。発展途上国や東南アジアなどへのさらなる進出は検討しない。
東南アジアでは唯一、シンガポールに進出し、分譲マンション事業を展開しているが、ここ10年の土地の入札では10勝90敗と、事業の広がりは難しいとみている。
日刊工業新聞2020年1月11日