来年の賀詞交歓会、中止相次ぐ。オンラインすら取り止めのなぜ?
賀詞交歓会などの業界団体による新年恒例行事が、新型コロナウイルス感染症の影響で、相次いで中止に追い込まれている。開催するケースもあるが規模を縮小したり、オンライン形式で決行したりするケースがほとんど。2021年は面と向かって新年のあいさつを交わす機会は大幅に減りそうだ。
日本工作機械工業会(日工会)は1月7日に予定していた賀詞交歓会の中止を決めた。通常は、日工会と同日に日本工作機械販売協会も開いており、業界からは「商社含めた関係者が同日に顔を合わせられる機会」(日工会)として位置づけられてきた。会場ではその年の工作機械受注額の見通しも発表されるため、受注目標達成に向けた「決起大会」のように受け取るメーカーも多い。碌々産業の海藤満社長は「毎年発表される受注見通しを頑張る糧にしており、会員企業同士で盛り上がっている。しかし今年はその場がなく、とても残念だ」と話す。
日本自動車工業会など自動車工業団体の賀詞交歓会にはここ数年、2000人程度が参加している。会場は人で埋め尽くされるため、コロナ禍での3密は避けられないとして初の中止を決めた。オンラインでの開催も検討したが、新年のあいさつを目的とした会員同士のざっくばらんな交流も難しいことが予想され断念した。
電子情報技術産業協会(JEITA)も、対面以外での開催方法では参加可能な人数が限られてしまい、380社以上の会員の交流が実現できないため、中止を決断した。例年800人ほど、多い年には1000人近くが出席していたという。
一方、経団連、経済同友会、日本商工会議所による新年祝賀パーティーは21年も開催する予定。毎年1800人程度の政財界の要人が参集するが、今回は3団体幹部らを中心に招待を絞り、450人程度で開催する予定。感染防止のために着席形式とし飲食も提供しないスタイルとする。
石油鉱業連盟も規模を縮小し感染防止策を講じて開催する。前回の出席者は440人だったが今回は160人程度を予定。前回は会員外も招いていたが、会員などの関係者だけに絞り、会合のような形で開く。渡辺和彦総務部部長は「会長から会員企業に対して直接メッセージを出すことが重要だと考えた」という。
大阪商工会議所などの関西経済団体や、日本半導体製造装置協会はオンラインで開催する。