清潔かつ身軽、そしてフリーに旅行しよう!世界最小の携帯型洗濯機
文=尼口友厚(ネットコンシェルジェ CEO) 洗濯具「Scrubba」のポテンシャル
企業に売り込んでも不評。クラウドファンディングに踏み切る
4カ月の旅行を通じて自らの発明品に自信を深めたニューランド氏。帰国後、この技術の国際特許も取得することを視野に入れてさらに試作品を洗練させることに励んだ。
当初、ニューランド氏らは自分たちでScrubbaを製造・販売する予定ではなかった。商品化のためのライセンスを販売し、ライセンス契約を結んだ企業を通じて商品化してもらおうと考えていたのだ。
ところがキャンピング用品を扱う多国籍企業数社も含め、何社にもアプローチをかけてみたが、どの企業も市場が本当にあるのか定かではない新製品に時間と資金を投じることには消極的だということが分かった。
「市場があることを証明しない限り、この企画はどこにも進まないことが見えてきた。現金が入って来なければ、僕たちはこの発明の海外のライセンスを守ることもできなくなる。そこで他の企業に頼ることはやめて、自分たちでScrubbaを製造することに方針を転換したんだ」
幸い、クラウンドファンディングが発達したおかげで量産化の前に製造を予定している商品の市場が存在するかを確認することは難しくなくなっていた。
2011年後半、ニューランド氏は勤めていた弁理士事務所を退職してCalibre8社を創設。Scrubbaを世に出すための作業に全力を傾け、翌2012年1月クラウドファンディング・サイトであるIndiegogoでScrubbaのキャンペーンを立ち上げる。
キャンペーンでは「Travel clean, light and free(清潔かつ身軽、そしてフリーに旅行しよう)」というスローガンを使った。「free」には「自由に」「気ままに」という意味と同時に「無料」という意味もあり、Scrubbaを持参すれば、コインランドリーやクリーニングサービスなどにお金を使う必要がなくなるという金銭的なメリットもアピールした。
2500ドル(約30万円)を目標に1個40ドル(約4800円)前後で販売し、3カ月で443人から2万2525ドル(約270万円)を獲得。Scrubbaは製品化へと進み、2012年6月にはECサイトで一般販売が開始された。
宣伝のためにfacebookやGoogleの広告にも投資したが、旅行やアウトドア、サイクリングなどをテーマとした国内外のメディアがScrubbaに関心を持って取り上げてくれたことが売上の増加に繋がった。
Scrubbaの顧客層の中心はアウトドアを愛し、しょっちゅう旅行に出かける人たちだが、家にいても洗濯機を使わずにScrubbaで洗濯しているという人も存在する。
水に直接手が触れないので手が荒れる心配がないし、電力も消費しないし、水も少ししか要らないので経済的だ。靴下や下着など普段身に着けている衣類を少量洗濯をする分には確かにこれで十分だろう。洗濯板の部分に擦りつけなければ、洗濯機を使えないデリケートな衣類の洗濯にも利用できる。
節電や節水を心がけている人、コリンランドリーに行く暇がない学生、洗濯機の数が足りない避難所で暮らす人たちなどにも役立ちそうだ。