村田製作所は一日にして成らず(9)次の本命を射止められるのか

ターゲットは車載市場

始まりは突然


 始まりは机の上に放置されていた電子部品だった―。1960年代。村田製作所は海外展開を本格化するため、米国市場への参入を模索していた。創業者の村田昭がターゲットに据えたのが、当時世界最大の自動車メーカーゼネラル・モーターズ(GM)。同社の技術は世界の巨人を魅了することになる。

 国産品を優先購入する「バイ・アメリカン政策」まっただ中の米国。村田が何度足を運んでも手応えはなかった。だが“その時”はあっけなく訪れる。GMの技術者が購買担当者の机に置かれた村田のセラミックフィルターを何げなくテストすると、米国製にはない特性を発見。車載AMラジオへの採用が決まった。

 そして現在―。自動車の電子化が進み、自動車に搭載される電子部品の数は飛躍的に増加した。部品各社は自動車をスマートフォンに続く有望市場と位置づけ、開発・販売競争を繰り広げている。

 「自動車向けはかなり伸びている」。社長の村田恒夫は手応えを感じている。車載市場ではライバルのTDKに先行されている村田製作所。水晶デバイスを製造する東京電波の買収やコイルメーカーの東光への出資比率拡大など、車載事業拡大に向けた布石を次々に打ってきた。

 

“心臓部”狙う


 「電気自動車など、トレンドにいかに乗れるかが重要」と話すのは、上席常務執行役員濵地幸生。同社はこれまで運転席周りなどへの部品供給がメーンだったが、パワートレーンなど心臓部への食い込みを狙う。

 駆動系の攻略には耐熱性や耐振動性、長寿命など、多様な特性が不可欠。濵地も「ここはさらに手当が必要」と話す。技術課題はあるものの「研究開発費の配分を大きくして取り組む」(同)と、技術力の向上に余念がない。

 横滑り防止装置(ESC)向けコンボセンサーなど、新規商品の拡販は着実に進行中。同社の13年4―12月期の車載向け売上高も、前年同期比18・0%増の884億円と成長軌道を描いている。自動車分野は、村田製作所にとってグローバル化のシンボル的存在。創業者の意志を受け継ぎ、“ムラタらしさ”を世界に示していく。(敬称略)

日刊工業新聞2014年02月28日 電機・電子部品・情報・通信面

尾本 憲由

尾本 憲由
10月29日
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どの電子部品メーカーも自動車市場を次の成長エンジンと位置づけている。その中で村田製作所の成績は決して見劣りはしない。この10年で車載事業はおよそ3倍まで拡大した。ただそれ以上にスマートフォンなど通信分野向けが伸びてしまったため、売上高に占める比率は15%程度にとどまっている。スマホ依存からの脱却は、いまだ大きな課題だ。

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