世界の名門オーケストラに特化した旅行会社、強みが弱みに転調した倒産劇

エムセックインターナショナル、コロナでツアーできず

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ウィーン楽友協会の大ホール

第1種旅行業者のエムセックインターナショナルは、2005年12月に設立。全国の高校や大学など学生や一般の合唱団体、オーケストラ団体、吹奏楽団体を得意先とし、海外演奏公演における航空券、宿泊施設、コンサートホールの予約、楽器の運搬などの手配全般を手がけていた。

ウィーン楽友協会ホール(オーストリア)やベルリンフィルハーモニーホール(ドイツ)、カーネギーホール(米国)、オペラハウス(豪州)など世界の名門ホールやシェーンブルン宮殿といった世界遺産などでのコンサートを企画・実施。これまで吹奏楽130団体以上、合唱・オーケストラ140団体以上を派遣してきた。

 

有名会場での演奏会に加え、集客においても独自のルートやノウハウにより、毎回ほぼ満員(定員の70―80%)の観客を動員するなど顧客に高い満足感を与えてリピート受注につなげ、19年3月期には年売上高約9億6800万円を計上していた。

しかし今年に入り、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、各国の入国制限など海外渡航が難しくなったことで予定していた海外演奏ツアーの催行が全て延期もしくは中止せざるを得ない状況となった。

このため旅行代金や申込金の返金対応を行いつつ、事業継続のための方策を弁護士に相談したが、新型コロナの収束やツアー募集再開の具体的なめどが立たず、事業継続が困難となり10月7日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。

新型コロナ以前は順調に業績を伸ばしていたにもかかわらず、まだ数えるほどしか発生していないコロナが主因となった今回の倒産劇。海外演奏旅行の企画に特化することで他社との差別化を図り、強みとしていたが、新型コロナで逆に自分の首を絞める結果となってしまった。強みと弱みは表裏一体。強みは時として弱点となることをあらためて考えさせられる倒産だったのでないだろうか。

(文=帝国データバンク情報部)

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