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高いものは4万円以上。犬向け高級ペット用品が世界20カ国で売れるワケ

文=尼口友厚(ネットコンシェルジェ CEO)良い意味で商売っ気の無い「Charley Chau」

起業は偶然。モノづくりへの情熱と犬への愛情が支持される


 Charley Chauは現在、サイト創設のきっかけになった犬用ベッドの他、手軽に使えるブランケット、首輪などを販売している。ベッドは最も高い製品で260ポンド(約4万7000円)。上質さを売りにしているだけあって、一般的な犬用ベッドに比べると高めの料金設定だ。

 創業以来のベストセラーは「Dog Snuggle Beds in Weave」。犬が何かに潜り込みたくなる習性を持っていることに着目して作られた、潜り込むことができるスタイルのベッドだ。3種類のサイズ展開があり、スモールで75ポンド(約1万3700円)、ミディアムが95ポンド(約1万7000円)、ラージ155ポンド(約2万8000円)という。

 同ベッドはフェイクファーのフリースでできたポケットと、柔らかで深みのあるマットレスとで構成されている。毛布の中は暖かく、もぐって寝るのが好きな犬であれば、どんな犬にも合う。特に、穴を掘るのが好きなテリアやハウンド、視覚ハウンド(優れた視力で獲物を追跡する、アフガン・ハウンドなどの猟犬のこと)に向いているという。

 手軽に洗濯機で洗うことも可能で、ベッドのマットを包むカバーも防水仕様。犬の小便などの汚れ、シミにも対応。長く使っても質が悪くならない耐久性の良さも強みの1つだ。

「Charley Chau」ではこの他にも、藤かごタイプの「Rattan Dog Baskets」、ひんやりした床の結露でベッドが濡れないように配慮された「The Raised Rattan Dog Bed」、ケージとベッドを一緒にした「Dog Crate Mattress and Bed Bumper Set」なども販売。犬の好みやシーンに合わせた商品展開を行っている。

厳格な品質チェックにより返品率0.5%未満を達成

 「Charley Chau」のFacebookページのレビューでは、46人の利用者からの評価を見る事ができる。ここでの評価は5段階中5という圧倒的な支持。「数年前に購入してから何度も洗濯機で商品を洗ったが、ほとんど劣化することなく元の状態のまま保っている」「値段は高いが長持ちするため、それだけの価値がある」といった内容のレビューが記載されていた。

 ベッドの質を高く保つため、英国製にこだわって生産しているが、ただ質の良い製品を確保するだけではなく、顧客の信頼を失わないように、出荷前の検品にかなり力を入れている。

 その甲斐があり高い商品の満足度を維持、商品の返品率は0.5%未満に抑えているそうだ。こうした質の高さを維持できているのは他でもない、犬への愛情であると、クリスティーン氏らは語っている。

 「一部の人たちは、大きな計画を立てて事業を開始し、商品を無数に作ろうとしてますが、私たちの場合、起業のきっかけは偶然に過ぎず、商品の製造も世界中の犬が快適に寝られるようなベッドや毛布を作りたい、という情熱や犬への愛情から行っています。このことがお客さまから支持される理由となっているのだと思います」(Charley Chau氏)

 「Charley Chau」のように、個人レベルの悩みを解決しようとしたら想定外の共感を得て、事業化に踏み切るケースというのがとても増えてきている。その理由はソーシャルメディアの普及と、eコマースが手軽に始めやすくなったということが背景にある。

 良い意味で商売っ気の無い、趣味の延長のようなECサイトが、今後は消費者の支持を得ていくのかもしれない。「Charley Chau」を眺めていると、そんな予感を感じさせる。
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
自身は愛犬家ではないが、犬好きの人の愛情の注ぎ方はすさまじいのは傍目にも分かる。だからこそ作り手の顔や気持ちが分かることがとても重要なのだろう。創業者が女性というのもアドバンテージがある気もする。

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