スマホでLet's投資!クレディセゾンのらくらく証券サービスとは?
【初心者から支持】
クレディセゾンは自社のクレジットカード会員向けに、スマートフォンで利用できる証券サービス「セゾンポケット」を2019年11月に始めた。カード会員はスマホのアプリケーション(応用ソフト)で、株式や投資信託を購入できる。カード決済で株を積み立て購入できるサービスは国内初。手軽さと分かりやすさで、投資初心者の支持を得ている。
セゾンポケットは投資に興味はあるが「リスクがある」「面倒だ」と、躊躇(ちゅうちょ)していた人の背中を押すきっかけとなった。セゾンカードとUCカードの会員ならば、簡単な手続きで投資を始められる。会員は合計で約2700万人。クレジットカードが投資を始める入り口となる。
スマホアプリで申し込むと、提携先のスマートプラス(東京都千代田区)の証券口座を最短で翌日に開設できる。郵送物は不要だ。購入の決済には手持ちのカードを使える。
株は銘柄、投信は商品が膨大で、初心者はどれを選べばよいか戸惑いがちだ。セゾンポケットは選択肢が大幅に絞られている。株は133社、投信は2本のみとなっている。これらはクレディセゾン子会社のセゾン投信(東京都豊島区)が運営する商品だ。
【20―40代が7割】
投資による資産形成には毎月、一定の金額を積み立て購入し続けることが重要だ。セゾンポケットは株は月5000円から、投信は月1000円から購入できる。投信2商品は「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」に対応しており、売却益と分配金が非課税になる利点がある。
こうした点が投資に興味があるが踏み出せなかった人たちを引き寄せた。実数は非公表だが、利用者の属性データで、株の投資経験がなかった人が46・5%にもなる。年代別では20―40代が7割を占め、長期間の積み立て投資が期待できる世代が参加。美好琢磨ペイメント事業部アセットマネジメント部長は「ここまで狙い通りになると思わなかった」と手応えを見せる。
こうした利用者拡大の下地になったのが、16年に始めたポイント運用サービスだ。セゾンポケット利用者のうち、同サービスからの流入が約6割を占めている。
同サービスではカード決済で付与されるポイントが投信や株の運用に連動して増減し、投資を疑似体験できる。当時は世界初の取り組みで投資を身近に感じてもらい、ハードルを下げる狙いがあった。現在、約50万人が利用中だ
セゾンポケットでもポイントを活用している。6回の積み立てごとにポイントを付与したり、手持ちのポイントで株や投信を購入したりできる。
【競争激化も】
今後、セゾンポケットをどう進化させるか。携帯通信大手が力を入れるスマホ決済でも投資サービスがメニューに加わっており、競争激化が予想される。美好部長は「分かりやすさで勝負する」と話す。投資に興味はあるが行動していない人たちを引きつける目標は変わらない。カード会員への訴求の工夫などに引き続き取り組む。(戸村智幸)