NASA職員が語るイノベーションのアイデア
宇宙で生まれるブレークスルー、3Dプリンターで人間を印刷!?
データを統合すれば地球をより深く理解できる
地球科学のデータは今、圧倒的なスピードで蓄積されています。これらのデータを統合すれば、地球をより深く理解することができるでしょう。
たとえば天気や気候、水のシーケストレーション(隔離)、帯水層の涵養(かんよう:水が浸み込むこと)等に関する疑問を解消するには、幅広く、多様な種類のデータ統合が必要になります。個人的には、多様なデータセット、例えば地上の分散計測データと衛星データなどを融合する可能性に期待を寄せています。
いま、新規市場参入にせよ、はるか遠い惑星を目指すにせよ、モノ作りのための新技術の活用が重要ですね。幸い今は、アディティブ・マニュファクチュアリング(3Dプリンティング)によって、これまでの工法では不可能だったエンジニアリング機器も作り出せるようになってきていることは、素晴らしいことです。
たとえば、ちょっと大胆ですが、3Dプリンティング技術で人間をプリントするというコンセプト。銀河系のほとんどの領域は、人が宇宙空間を通って旅行するー。少なくとも現時点で私たちが考えるような形での旅を想像するには距離が遠すぎますよね。
そこで、遺伝学者のジョージ・チャーチ氏とそのスタッフたちが思いついたのが、より抽象的な旅の形で人類を宇宙の局所領域から外に出すというアイデア。人間の情報を0と1のコードにして、あるいは他のシンプルな生命体の遺伝子にエンコードして、光速あるいはそれに近い速度で転送するんです。
どちらの方法でも、目的地ではアディティブ・マニュファクチャリングのような技術、もしくは遺伝子工学の進化が可能にする、これから解明されるプロセスによって、人間を再度組み立てることが必要になります。
もちろん、現実離れした構想ですし、現在の技術では生物要素のアディティブ・マニュファクチャリングは難しい課題ですよね。でも、DNAはそれを見事にやってのけるほどのパワーがあります。将来、3Dプリンターで人間の魂までプリントできるようになるだろうか・・・?大胆な想像をする力も、イノベーションには必要ですよね。