2015年10月21日は「バック・トゥ・ザ・フューチャー2」の日!

劇中に登場する先端技術は実現したのか?

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バック・トゥ・ザ・フューチャー2のワンシーン
 2015年10月21日、米カリフォルニア州に1台のタイムマシンが飛来した。その名は「デロリアン」-。

 1989年に公開された「バック・トゥ・ザ・フューチャー2」の舞台となった2015年。トヨタ自動車が宙に浮くスケート・ボード「ホバーボード」を開発したと公表し、レクサスのCMでその姿を公開。ナイキも自動で靴紐を締めるスニーカーを開発中で、ペプシコは劇中で主人公が飲んでいたペプシ・コーラを限定発売するなど、”その日”に向けた動きが盛り上がってきた。インターネットでは主人公二人が、映画の世界について語り合う動画も公開されている。

 日刊工業新聞ではその2年前となる2013年に、劇中に出てくる最新テクノロジーの実現可能性について検証した。この2年で進展した部分、しなかった部分も含めて、再び同作を楽しむのはいかが?

「デロリアン」で過去や未来を行き来する世界へようこそ


 SF映画の世界まであと2年―。タイムマシン「デロリアン」で過去や未来を行き来し、さまざまな騒動に巻き込まれるアクション・コメディーといえば、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズだ。2作目で主人公が向かった2015年の未来では、自動車が空を飛び、ロボットが働き、あらゆる機器が自動化された世界が広がる。その舞台まであと2年と迫った今、映画に出てくるさまざまな技術は実現できるようになったのか。また近い将来、そんな社会は訪れるのだろうか?

【ホバーボード インフラ整備に難】

 映画では空中でスケートボードのように移動する「ホバーボード」という乗り物が大活躍する。地面から浮いて走る乗り物といえば、リニアモーターカー。日本で開発中のリニアは超電導磁石で生じた5テスラという強力な磁力で、重さ20トンの車体を浮かせて動く。その原理を応用すれば、人を乗せて浮く板くらい簡単に作れるのでは?

 「地面などにコイルを敷き詰め、コントローラーを持ちながら乗れば実現できないことはない」と話すのは、鉄道総合技術研究所浮上式鉄道技術研究部の長嶋賢部長。10センチメートルほどの高さで浮くことができ、ジェットを搭載すれば移動も可能だ。

 問題は冷却装置。超電導性能を出すためには、マイナス269度Cまで冷やす必要がある。さらに「浮上させるメリットがどこまであるか」(長嶋部長)。リニアモーターカーを浮上させるのは、摩擦抵抗をなくして最高時速581キロメートルという高速を出すため。ホバーボードにはそこまでの速度は必要ない。そもそもコイルを全面に敷き詰めるのも非現実的だ。技術的には可能でも、現実の社会で実現するのは難しそうだ。

【空飛ぶ車 50年代に開発済み】

 未来に飛んだ主人公が最初に目にするのが、空中を走る自動車だ。「空飛ぶ車」は、未来社会の代表技術として描かれることが多いが、実は1950年代に開発されたことがある。その実態は「地面を走れる飛行機」。販売も計画されたが、自動車と飛行機の機能を一緒にするメリットが感じられなかったのか顧客がつかず、実現しなかった。

 ただ現在も空飛ぶ車の開発は続けられている。米マサチューセッツ工科大学発ベンチャーのテラフージアは、空では最高時速185キロメートルで飛び、地上では30秒で翼をしまって幅2メートル、最高時速104キロメートルの自動車に早変わりする「トランジション」の実用化を目指す。またドイツのオートジャイロが開発した2人乗りの小型飛行機「MTOスポーツ」は、すでにハイウエーパトロールに使われている。

 航空工学を専門とする東京大学の鈴木真二教授は「本当に実用化できる空飛ぶ車とは、自動車と同じくらいの価格で、安全に空を飛べる4人乗り程度の小型飛行機では」と指摘する。ある程度簡単にできる操縦技術や、事故が起きた時に飛行を継続する自律制御システムなどが必要だ。姿こそ異なるが、自動車に乗る感覚で空を行き来する未来は近いかもしれない。

【超高精度天気予報 スパコンを活用】

 タイムマシン開発者の博士が「あと5秒で(雨が)やむ」と話した次の瞬間に雨がやむシーン。気象研究所の露木義予報研究部長は「直前に出した予報であれば、それに近いことはできるかも」と示唆する。レーダーでとらえた雨雲の様子は5分おきに更新される。1秒間隔は無理でも、数分後ならある程度は予測可能だ。しかし、何もない所にできる雨雲を1日前から予測するのは、非常に難しいという。

 天気予報に重要なのは、ある地点の上空の観測データ。予報には空を格子に区切り、それぞれの格子の風や気温、水蒸気量などの時間変化を計算して、10秒、20秒後の状態を予測する方法が使われている。

 格子が細かいほど予報は正確になり、現状の5キロメートルから2キロメートルの大きさにする取り組みが進む。ここで活用が見込まれるのが、膨大な計算を処理できるスーパーコンピューターだ。

 さらに14年と16年に、解像度やデータ精度などを向上した天気衛星「ひまわり」を打ち上げる計画があり、より高度に観測できるようになる。

 これらの高度化した細かい観測データと計算力を駆使すれば、「例えば『○月×日の何時に△%の確率でこれくらいの量の雨が降る』という予測はできる」(気象衛星・観測システム研究部長の角村悟氏)という。

日刊工業新聞2013年01月4日 科学技術・大学面の記事に加筆

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