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歴史や機能性を学びながら「マイランドセル」を選べるミュージアムが面白い!

歴史や機能性を学びながら「マイランドセル」を選べるミュージアムが面白い!

まず来場者を出迎えるのはランドセルのパーツ展示

ランドセルの歴史学ぶ

セイバン(兵庫県たつの市、泉貴章社長)は、8月に企業博物館とランドセルの直営店を組み合わせた「セイバンミュージアムパーク」をオープンした。設立から現在に至る同社100年の歴史、さまざまなランドセルの工夫、工場の作業風景を見て学べる。広報担当の舩越瑞枝さんは「ランドセルに特化した日本で唯一の博物館」と自負する。

まず来場者を迎えるのはランドセルの金具や肩ベルト、クッションなどのパーツを分解した展示。商品ごとに異なるが、多くの部品で構成されているのが一目でよく分かる。

セイバンは1919年(大8)、地元出身の泉亀吉氏が播磨産の皮革を材料に財布やカバンなどを売り出したのが始まり。戦後の46年からランドセル製造に参入。2003年に看板商品で背負った際に軽く感じるランドセル「天使のはね」を発売し、大ヒットした。

パーツ展示があるコーナーではランドセルの変遷をたどれる。中でも肩ベルトとランドセル本体をつなぐ金具「背カン」は60年代の二つ折れ背カン、70年代の安定性をより重視した山型背カンなど、その時々で改良が行われた。ほかにもA4サイズ対応や反射材の採用といった時代のニーズに合わせた機能の追加なども分かる。太陽光発電付きランドセルの試作品も紹介している。

各パーツの技術を伝える場所では、背中素材の通気性や人が乗っても形崩れしない耐久性、多くの荷物が入る収納力に驚きつつ、ランドセルの良さを体感できる。また、同じ建物内にある工場の様子を見学できる。舩越さんによると、ランドセルは生産ラインで自動的に作られているイメージを抱く人が多いそうで「社員が一つひとつ手作りしている所を見てほしい」と話す。

直営店では約140アイテムのランドセルを、その場で手に取って選べる。同社は「ランドセルは自分で決める人生初の買い物。博物館を訪れて商品を選んだ体験が一つの思い出になれば」(舩越さん)と願っている。

博物館と併設する直営店には約140アイテムのランドセルが並ぶ
【メモ】▽開館時間=10―17時(新型コロナウイルス感染予防のため、当面は自社サイトで事前予約制とする)▽休館日=水曜日▽入館料=無料▽最寄り駅=JR姫新線「本竜野駅」▽住所=兵庫県たつの市龍野町片山379の1▽電話番号=0120・749・440
日刊工業新聞2020年9月18日

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