【動画あり】「AI自動運転車いす」、新型コロナの感染防止に期待

久留米工大などが実証

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自動運転車いすの活用実証。車からの出し入れも自動運転でできる(サンカルナ久留米)

医療や介護の現場で働く人の負担軽減を目指し、人工知能(AI)を備えた自動運転車いすの活用実証が九州で始まった。新型コロナウイルスの感染対策に細心の注意が払われている両現場では、感染拡大前から人手不足が問題となり負担軽減は大きな課題だった。通常の業務に加わった感染対策による負担は現場をさらに疲弊させている。久留米工業大学を中心とする開発チームは、感染予防に注意しながら早期の実用化を目指す。(関広樹)

熊本赤十字病院(熊本市東区)では4月に実証が始まった。課題抽出や改良、運用モデルの構築が狙い。同病院は通信会社や自動車関連メーカーなどとともに、チームの一員として開発に積極的に関わる。感染予防で人との接触を減らすために、実証ではウェブを活用。大学側からの遠隔支援を受けて病院スタッフのみでも運用した。

同病院が車いすに期待するのは、患者の移動や血液輸送バッグなど院内物流。車いすに搭載したマイクやスピーカー、カメラを使った対話を、受付や遠隔問診に利用することも見込む。病院スタッフが移動に付き添わずに済めば、感染リスクの軽減にもつながる。

高齢者の利用を想定した実証が7月に始まったのは、西日本鉄道の有料老人ホーム「サンカルナ久留米」(福岡県久留米市)。玄関から部屋までの人や荷物の移動を想定して実証している。

高齢者の車いす利用では、車いすを押す付添人も高齢者という場合が多い。移動への付き添いは大きな負担で、自動運転車いすの導入効果は大きいとみている。介護施設についてはカメラを生かして、夜間の巡回などにも活用できると見込む。

久留米工大は今回の病院などに加えて、市役所や商店街、イベント、空港といった場所でAI自動運転車いすを実証している。

同大インテリジェント・モビリティ研究所の東大輔所長は「現場ならではの意見をいただけるのは大変ありがたい」とし、実用へ向けた取り組みを着実に進める。

日刊工業新聞2020年9月2日

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