温度が測定できる「ラベル」が面白い、電子部品・高機能材料管理の強い味方に
トッパン・フォームズは、温度測定機能を備えた極超短波(UHF)帯ICラベルを開発した。温度情報をひもづけた個品管理が可能になり、製造現場で用いる材料などの管理の効率化につながる。12月に発売予定で、価格は100万枚注文時で1個約70円。2025年度までにラベルや関連機器、システムで5億円の売り上げを目指す。
温度センサーを内蔵したICチップを搭載しており、85―マイナス40度Cまで測定可能。IDと温度の測定結果を同時に取得可能にすることで、温度計測器では難しい個品単位での品質管理を実現する。記録の書き間違いの防止や作業工程の削減もできる。電子部品や高機能材料など温度管理を要する材料の保管や物流への使用を見込む。
準拠規格はISO18000―6Cで、通信距離は約4メートル。一括読み取りが可能で、同社製の小型読み取り機と併せて製造現場を中心に提案する。リーダーやライターからの電波で動き、温度管理は測定機能に限定しているため電池交換は不要。バッテリー付きラベルや電池式の温度計測器と比べて運用コストを抑えられる。
トッパン・フォームズによると、新製品は同様の機能を持つ海外製のラベルと比べて小型。標準サイズは幅30ミリ×長さ75ミリメートルで、形状や大きさは用途に応じて変更可能。ラベルの材質を防水素材に変更することで結露対策もできる。利用対象に合わせたアンテナのカスタマイズも可能にすることで、海外製品と差別化した。
同社は高付加価値化によるラベルの競争力向上に力を注いでいる。これまでにも、開封や漏水を検知できる機能を備えたラベルを提供した。今後も機能や種類の拡充に向けて研究活動を進める。
日刊工業新聞2020年9月2日