<特集>中部のモノづくりはなぜ強いのか#03

技術だけでなく意識や風土も継承

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初飛行を月末に控えるMRJ
 中部のモノづくりの特徴は、輸送用機械の占める割合が大きいことにある。今後も、トヨタ自動車をはじめとするメーカーが、この地域のモノづくりをけん引していくだろう。国内の家電メーカーが中国や韓国企業の後塵を拝している一方で、自動車メーカーは強い競争力を維持し続けている。その要因は幾つか挙げられるが、モノづくりを手がける会社としての企業風土によるところも大きい。

 トヨタを例にとってみると、「かんばん方式」に代表される高い生産システム、ハイブリッドや燃料電池などの高度な技術力、さらには高い改善意識・コスト意識を持ち続ける社員が強みとして挙げられる。これらは改革の方針を掲げてすぐに実現できるものではない。長い年月をかけて企業風土として定着を図ることによって、ようやく成せるものだ。モノづくりには、技術だけでなく意識や風土も継承していくことが欠かせないことを示す好例だと言える。

 ところで、5年半におよぶ交渉が続いていた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が5日、大筋合意した。これは日本の製造業にとって順風となることは間違いないだろう。さらに、これにより円安に傾いた場合、製品輸出はさらに加速する。自動車メーカーにとって追い風となり、中部のモノづくりに大きなプラス効果が期待される。ただ、製造業へのプラス効果はそれほど大きくないとの見方もあり、予断を許さない。

国内航空機産業の製造品出荷額は50%を超える 



 輸送用機械の中で、自動車に次いで注目されるのが航空機だ。愛知および隣接する岐阜県各務原市は、航空宇宙産業の一大拠点となっている。この地区は戦時中、軍用機製造の重要拠点だった。現在は、三菱重工業、川崎重工業、富士重工業などの航空機体メーカー、部品メーカーの工場が多数立地する。

 製造品出荷額で見ると、国内航空機産業の50%以上がこのエリアに集中していることがわかる。米ボーイングの「787」に使われる機体部品の35%がこの地域で生産されていることからも、いかに最先端技術の集積地であるかがわかる。今後のさらなる発展に向け、地元の期待も大きい。米シアトル、仏トゥールーズに次ぐ航空宇宙産業の拠点を目指し、国や県も支援に力を入れている。

 中部の航空宇宙産業で今注目を集めているのが、50年振りの国産小型旅客機「MRJ」(三菱リージョナルジェット)だ。この開発・製造は、中部のモノづくりにとって明るい話題と言えよう。現在、愛知県豊山町の三菱重工業小牧南工場で、17年の納入開始に向けて開発が進められている。その完成は、地元に経済効果をもたらすことはもちろん、モノづくりの活性化にも繋がっていく。

日刊工業新聞2015年10月15日「モノづくり中部の鼓動 技、一路」より

COMMENT

明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

土地や企業の風土は一長一短にはできない。トヨタやスズキ、工作機械メーカーなど創業家がトップに就いているケースが多いのも見逃せない点だろう。

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