三菱自動車が小型トラックをフィリピンから輸出する狙い
拡大路線転換し、東南アに資源集中
三菱自動車は2年内をめどに、フィリピンで生産している小型トラック「L300」の輸出に乗り出す。フィリピンに工場を構える自動車メーカーのうち、量産ベースの車の輸出は三菱自が初めてになると見られる。4月に始動した3カ年の新中期経営計画では、従来の拡大戦略を転換し、東南アジア地域に経営資源を集中させる方針だ。域内の生産体制を強化し、市場シェアのさらなる引き上げにつなげる。
1―2年以内にフィリピンから東南アジア地域に輸出する。L300はインドネシアでも現地向けに生産している。フィリピンからの輸出先はインドネシア以外の域内各国が中心となる。
輸出台数については現在詰めている。地域戦略の柱の一つであることから、輸出に関わる手続きや品質保証、輸出先の規制の対応などを慎重に進めている。
三菱自は2020年3月期まで世界の主要市場で規模を拡大する方針を採ったため、固定費が増大して収益力が低下。構造改革費の計上などで21年3月期の連結当期損益は3600億円の赤字(20年3月期は257億円の赤字)になる見通し。今後は経営資源を競争優位にある東南アジア地域に集中投下し、収益性の伴った成長につなげる考え。
三菱自のフィリピンやタイ、インドネシア、ベトナムを合わせた20年3月期の市場シェアは10・6%で、約10年前と比べて4・2ポイント伸びた。23年3月期には11・4%まで高める目標を掲げている。販売体制の強化やベトナム、マレーシア、ミャンマーの生産体制も拡充し、23年3月期の東南アジア地域における販売台数は20年3月期比約3割増の37万5000台を目指す。
三菱自のフィリピン工場ではアライアンス(企業連合)を組む日産自動車の車の生産も検討されている。
日刊工業新聞2020年8月20日