“人生100年時代”を狙え、信託商品の顧客争奪戦が激化

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寿命が100歳前後まで伸びる“人生100年時代”が到来

金融機関が、寿命が100歳前後まで伸びる“人生100年時代”を踏まえた信託商品を充実させている。三井住友信託銀行は高齢者向け信託商品に、代理人が契約者の年金を払い出せる機能を追加。オリックス銀行は自宅を担保にするローン「リバースモーゲージ」に家族信託機能を付与した商品を投入した。今後も、ほかの金融機関と差別化した信託商品の開発が相次ぐ状況が見込まれる。信託商品をめぐる顧客獲得競争が一段と激しさを増しそうだ。

【定期的追加入金】

三井住友信託銀が高齢者向け信託商品に加えた機能は、年金が振り込まれた契約者の普通預金口座から、信託商品用口座に定期的に追加入金できる仕組みだ。契約者が認知症になっても、代理人が医療、介護、住居などの費用を支払える。

これまで預金者が認知症になったと判断すると、金融機関が口座を凍結するケースがあった。口座から引き出せるようにするには、成年後見人を立てる必要があったが、機能追加によって、こうした手間を省けるようにした。みずほ信託銀行も契約者が認知症の発症に備えて預金の手続き代理人を指定しておく「認知症サポート信託」を販売している。

【家族が代理対応】

オリックス銀が投入したリバースモーゲージに家族信託機能を付与した商品は、契約者が権利を託した家族が、認知症で判断できない契約者の代わりに、自宅の売却や返済継続を決められる。家族信託機能を備えたリバースモーゲージは国内で珍しいという。

認知症になった契約者が老人ホームに入居する場合、家族が代わりに自宅を売却できるようにした。契約者の口座の残高が少ない場合、家族の口座からも入金できる。認知症患者の口座の取り扱いは大きな課題になっており、そこに一つの解決策を提供した形だ。

また、50歳まで一度も結婚したことがない人の割合を示す生涯未婚率の高まりを受け、単身者向け信託商品も登場しだした。三井住友信託銀は、葬儀などの死後事務や財産支払いを代行する商品「おひとりさま信託」を販売し、このほど生命保険型を追加した。

【毎月支払う】

契約者が保険会社と生命保険契約を結び、同行が保険金を受け取り、葬儀などの後に相続が発生した場合には、信託財産の受取人に支払う仕組みだ。既存の金銭信託型は契約者が料金を一括で支払うのに対し、同商品は保険料として毎月支払える。

こうした商品は、今後高齢化の進展に伴って相次いで登場しそうだ。

日刊工業新聞2020年8月11日

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