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<特集>中部のモノづくりはなぜ強いのか#01

トヨタが生まれた歴史をたどってみた
 戦前から戦後、さまざまな節目を経て発展を続けてきた中部のモノづくりには、日本のみならず、世界からも熱い視線が注がれている。今なお日本の産業界をリードし続けている中部のモノづくりが、今後の日本再生の鍵を握っているといっても過言ではない。中部のモノづくはなぜ強いのか、その背景を探った。

鮮明に浮かび上がる数字


 中部地区(愛知・岐阜・三重・静岡・石川・富山)が「モノづくり王国」と言われるようになって久しい。トヨタ自動車を筆頭に、製造業の盛んな地域であるというイメージはすっかり定着している。では実際、どれだけモノづくりの強い地域なのか。

 その実態は、各種統計データから鮮明に浮かび上がる。内閣府「県民経済計算」(2012年)によると、経済活動別総生産における製造業の占める割合は34・5%。全国平均の20・6%と比較すると、この地区の産業において製造業がいかに高い比率を占めているかがわかる。製造業の中で、輸送用機械の占める割合が大きいことも大きな特徴だ。2012年時点で全国平均が約2割であるのに対し、中部は約4割。自動車、自動車部品、航空機部品がその代表と言えよう。

 総務省・経済産業省「経済センサス活動調査」(同)では、製造業の事業所数は全国で49万3380。対して中部は9万7012で全体の約20%を占めている。従業者数は全国が約925万に対し、中部は約204万で約22%。6県の人口が全国の13・6%であることから考えると、その比率の高さは明らかだ。

 経済産業省「工業統計(産業編)」(同)によると、中部の製造品出荷額(従業者10人以上の事業所)は75兆2111億円。全国総額の281兆5983億円と比較すると、中部が約27%のシェアを占めていることがわかる。この数値からも、中部がモノづくりの盛んな地域であることが見て取れる。
 
 モノづくりの強さは、港湾での貨物取扱量からもわかる。国土交通省「港湾統計」(同)によると、総貨物量で名古屋港は2億トンを超え全国トップ。輸出量について見ると約5500万トンで他を大きく引き離している。また、四日市港も総貨物量で15位と上位につけている。
 
 伝統工芸品から受け継がれる力

 歴史的に見ても、中部は古くからモノづくりの盛んな地域だった。これは、今も多くの伝統工芸が受け継がれていることからもわかる。伝統的工芸品のうち経済産業大臣が指定するものに限ってみると、現在その数は全国で222点。うち愛知が12点(全国5位)、石川が10点(全国6位)。これら以外にもこの地域には数々の伝統的工芸品があり、今も多くの職人が活躍している。
 
 国内の各企業が中部を製造拠点としてどう捉えているかという点からも、モノづくりに強い地域であることが窺える。帝国データバンクが8月に公表した「地方創生に関する投資意向調査」(2015年6ー7月実施)によると、新たな拠点・設備を整備する計画や可能性がある企業2731社のうち、工場の立地を検討したい場所として挙げている地域は、1位が海外、2位が愛知となっている。トップ10には、3位に静岡、8位に岐阜が入っており、中部が工場立地に適した場所と考える企業の多いことがわかる。
 
 ただ一概に「中部のモノづくり」と言っても、愛知とその隣接地域が圧倒的な地位を占めていることは否めない。東海に比べ北陸地域の注目度が低いのは事実だ。しかし、北陸もモノづくりの盛んな地域であることは間違いない。この地域は「日本海側最大の工業地帯」といわれる通り製造業が発達しており、機械、化学、金属などを中心にメーカーが集積している。コマツやYKKなど、高い技術力を武器に市場で高いシェアを保持する企業も多い。

日刊工業新聞2015年10月15日「モノづくり中部の鼓動 技、一路」より
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
自分は石川県小松市出身なので、いわゆる「中部の人」。ただし中部の人以前に「北陸の人」が先にある。ただ北陸と言っても福井は関西の文化の影響を受けているし、富山はどちらかと言えば東京に出てくる人が多い。石川はちょうど中間的な位置で、関西にも名古屋にも東京に比較的等距離のような気がする。個人的には物心ついた時からドラゴンズファンで、「ナゴヤ」という響きが結構好きだった。記事にもあるように中部と言っても、ひとくくりにできないのは確かではあるが、道州制になった場合はかなり強力な経済圏になる、と改めて感じだ。

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