大学授業オンライン化の悩みの種、教員のITスキルの幅をどう乗り越えるか
新型コロナウイルス感染症対策の一環として今春から始まった大学のオンライン授業では、ウェブ会議システムや、教材など学内サーバーで集中管理する学習管理システム(LMS)が多用された。しかし電気通信大学は全学統一でなく、外部サービスを含めた複数のツールによる5モデルを利用可能にした。教員のITスキルの多様性を重視したためだ。これを機に学生の使いこなしスキルも高めた。情報理工系の中規模大学の特色を生かした取り組みで注目されそうだ。(編集委員・山本佳世子)
電通大では教員が選べるモデルを(1)「Zoom(ズーム)」などウェブ会議システム(2)「ウェブクラス」「グーグルクラスルーム」などLMS(3)オンデマンド型授業収録・配信システム(4)「グーグルドライブ」などのクラウドストレージ(5)最も容易な資料添付メール―の五つとした。各モデルのツールの種類も選べる。部局や教員によって使い慣れたものが複数、あったためだ。
例えば数式が重要な数学や物理の授業では、教材の「パワーポイント」化には手間がかかる。同大では以前から利用されていた板書配信の教室の仕組みが活用された。
学生には科目で異なる多数のシステムに楽しみながら慣れてもらうため、ゲーム型の研修を設計した。このゲームやデータ容量圧縮のプログラム作成では教員が活躍した。
これらも影響し6月の遠隔授業の満足度調査は、2年生以上の満足度は高めとなった。一方、ITスキルも未熟で登校経験がない1年生では低い。後期の授業設計で解決策を探る。
LMSは学内の遠隔授業システムで、教材や課題のテキスト、動画など置き、学生は学外からパソコンのビューアで見る。社会人向けeラーニングなどで一部活用されていたLMSが今回、各大学で広く使われた。
全学共通でITに不慣れな人文・社会科学系教員も同様に支援できるが、中央管理のデメリットとして当初、大量アクセスによるシステムダウンの問題が見られた。
