内部密度94%の全固体電池材、名古屋工大が開発
名古屋工業大学大学院工学研究科の谷端直人助教らは、塩化物の単斜晶塩化アルミニウムリチウム(LiAlCl4)を用い、全固体リチウムイオン電池の新しい電解質材料を開発した。内部密度(相対密度)が94%と高く充電時の析出リチウムが浸入しにくいため全固体電池開発の課題の一つだった短絡を防げる。今後は全固体電池全体の研究も進める。
単斜晶LiAlCl4の高いイオン伝導性、成形性、熱力学安定性に着目した。粉体原料をボウル内で撹拌(かくはん)して機械的力で化学反応をさせるメカノケミカル法で粉体材料を合成し、高圧で押し固める圧粉のみで成形した。従来の酸化物材料の電解質よりイオン伝導性は1ケタ以上高い。塩化物材料では一般的な有毒ガスや高温処理も不要。実験では70回の充放電後も短絡が起きないことを確認した。
日刊工業新聞2020年8月3日