50回洗濯しても撥水性能が落ちない、東レの衣料用新素材がスゴイ
東レは高い耐久性と撥水(はっすい)性を兼ね備えた衣料用素材「キューダスXT」を開発した。環境負荷の少ない非フッ素撥水剤を繊維表面に薄く被覆できる独自のコーティング技術を活用した。強い雨でも生地表面が濡れるのを防げる。アウトドア関連のアパレルメーカーへの販売を想定し、国内外で提案を始めた。2021年度から本格的に販売し、売上高2億円を目指す。
キューダスXTは、微細なコーティング加工技術により凹凸のある繊維表面でも薄く隙間なく撥水剤を被覆することができる。薄い膜なので透湿性にも優れる。50回洗濯をした後でも撥水性能が落ちないことを降雨試験などで確認したという。
同素材に使用する撥水剤は、非フッ素タイプとフッ素を含むが高い撥水性や撥油性を発揮するC6タイプの2種類から選べる。東レによると、撥水性のある衣服にはC6タイプの撥水剤が一般的に使われているという。
環境配慮の観点から非フッ素撥水剤でも撥水性能が落ちない素材を求めるアパレルメーカーは多く、採用する方針のメーカーも既に何社かあるという。ただ、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、半年から1年ほど販売時期がずれ込んだ。
キューダスXTは現在、アウトドア衣服向けに需要が高いナイロンのみの展開だが、提案先の反応を見ながら、ポリエステルへのコーティングも視野に入れて開発を進める。
日刊工業新聞2020年8月3日