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デジタル発電所の近未来はすぐそこに

GEが初披露した「デジタル・パワー・プラント」の全貌。電子レベルまでデータ化される時代へ
デジタル発電所の近未来はすぐそこに

GEが公開した「デジタル・パワー・プラント」


今後20年間で発電量を5割増やす手段が必要に


 しかし、インダストリアル・インターネットはデジタル・パワー・プラントを支えるテクノロジーであるだけではない。家庭や企業への電力供給は、遠隔地にある単独の発電施設で発電した電力を消費者に一方的に供給する古い手法から、よりフレキシブルで双方向的なシステムへとシフトし始めている。

 具体的には、屋根に設置したソーラーパネルや風力発電施設、バッテリーによって、依然として変動性の高い再生可能エネルギーを電力網に供給している。

 産業界ではこうしたシフトに対応できるツールが必要とされおり、そこではデータやソフトウェアが一役買ってくれそう。たとえば、ガス燃料を使う発電施設での発電を控えるのに最適な時間を知らせて、ちょうど吹きはじめた風や、顔を出し始めた太陽を利用した電力にシフトすることが可能になる。

 <プラットフォームは誰が主導するか>

 GEパワー&ウォーターのチーフ・デジタル・オフィサー、ガネッシュ・ベル氏(GEの130年の歴史の中で初のデジタル・オフィサー)は、世界は今後20年間で発電量を今より50%増加させる手段を見いだす必要があると指摘。「これは途方もなく大きな課題だ。どれほど大きな成功体験がある企業でも単独では太刀打ちできない。だからこそ私たちは、お客さまやパートナー企業、スタートアップ企業などに参加を呼びかけて、Predixというソフトウェアプラットフォームを使ってイノベーションを起こし、みんなで問題解決にあたろうと呼び掛けている」という。

 米電力大手エクセロン社とパブリック・サービス・エンタープライズ・グループ(PSEF)社は発電施設をデジタル化させ、発電機器とオペレーション向上に向けたアプリを導入した最初の公益企業になった。

 エクセロンの新技術担当シニアマネージャー、マイク・クーゼジャ氏は同社の業界内の地位を維持し、発展し続けるためには、「効率性や成長のチャンスとしてイノベーションに目を向ける必要がある」という。「当社の判断はすべてデータに基づいている。利用できるデータが多いほど、パフォーマンスの適切な予測が可能となり、発電設備をより最適化できる」と自信をのぞかせる。
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
スマートグリッドという言葉からもIoTの最初のアプリケーションは電力分野が有力だ。スマートメーター(川下)、送電網(川中)がスマート化されれば、当然、川上の「発電所」もそうなってくる。GEがプラットフォームのデファクトの本命なのは間違いないが、対抗馬が生まれてこないと健全ではない。それは「オールジャパン」とかの発想ではない。シーメンスもまだ事業再編のスピードが遅い。

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