三井化学、テレワーク率最大7割に!研究開発部門の新しい挑戦とは?

最適時間の使い方模索

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三井化学の研究開発の中核拠点・袖ケ浦センターでは、GW前にテレワーク率が7割に高まった

新型コロナウイルス感染症拡大で、テレワークの対象は研究所や工場の一部へも広がった。オフィスワークで在宅勤務が根付く兆しが見える一方、競争力の源泉である「新しいものを生む」ことにテレワークはどう貢献できるのだろうか。研究開発部門にとって新しい試みとなった。

【出社率を削減】

三井化学は、2月末から研究開発本部内で出社率をどの程度削減できるか調査を開始。3月中旬から中核拠点の袖ケ浦センター(千葉県袖ケ浦市)内の研究者から順次実施し、4月に本格的な体制に移行した。約700人が勤務する同センターのテレワーク率は、5月の長期休暇前に7割程度まで高まった。

テレワーク対象は実験を伴わない業務が中心で、一部の実験も優先順位を付けて中止。データ整理や報告書の作成など、積み残していた業務に腰を据えて取り組んだほか、実験を行っていた若手研究者はウェブセミナーで基礎的な知識を学び直した。人工知能(AI)や、AIを活用した素材開発手法のマテリアルズ・インフォマティクスの勉強会を自主開催した職場もあり、自己研鑽(けんさん)を進めた。

【情報共有早く】

コミュニケーションの利点も期待する。例えば、複数組織の不特定多数に周知したい情報は、オンラインで直接伝える試みを始めた。従来の伝言ゲームによるバイアスをなくし、情報共有にスピード感を持たせる。

名古屋大学の堀克敏教授らと進める「3Dマスク」の開発は、コロナ禍で一気に議論が進んだ。感染拡大やマスク不足が注目される中、共同開発中だったものを脇に置いてでも、「今のマスクの不具合を解消し、本当に皆が欲しいマスク」を開発しようと決めた。

同マスクは、3Dプリンターで作成したマスク本体に、使い捨てのフィルターを組み合わせる。マスク本体の樹脂には熱で軟化する素材を使い、それぞれの人の顔にフィットさせる。「世界中の人々の口元に三井化学の技術が装着され、『命を守る材料』として貢献できればとワクワクしている」(同社)。

同センターのテレワーク率は足元で2―3割で、今後、首都圏の感染状況を見ながら過不足なく行う考え。今回の同社の取り組みからは、勤務状態ごとに最適な時間の使い方を考えることの大切さが見えてくる。

【多様な考え】

化学各社の研究所には、通勤に公共交通機関を使わない場所もある。感染症のリスクの違いから、各社のテレワークへの考え方はさまざま。横浜市内に研究所を持つ三菱ケミカルには、遠隔操作できる実験装置を導入する計画もある。オープンイノベーションによって、従来以上に社外との密なコミュニケーションが求められる中、コロナを契機に、よりよい研究開発体制に向けて試行錯誤する必要がありそうだ。(梶原洵子)

日刊工業新聞2020年7月16日

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