「能代」に「伏見」…名門工業高校の名前が消えていく見逃せない事情
「若者よ、モノづくりはいいぞ!」
秋田県立能代工業高校が2021年春、能代西高校と統合して校名が「能代科学技術高校」となることが決まった。能代工高は高校バスケットボールで全国制覇58回を誇る名門だ。
米プロバスケットボールNBAでプレー経験のある田臥勇太選手らを輩出。バスケが題材の人気漫画『SLAM DUNK(スラムダンク)』で主人公の所属高校と死闘を繰り広げた強豪校「山王工業高校」のモデルとしても知られる。
元日本代表の故平尾誠二さんの母校で高校ラグビーの名門だった京都市立伏見工業高校はすでに全日制が併合し京都工学院高校として16年開学。定時制も来春に西京高校との統合で京都奏和高校となるため「伏見工」の校名はなくなる。
2工高ともバスケ、ラグビーで校名が“ブランド”になり学校の活性化にもひと役買っていたはず。校名変更は少子化や工業高への志願者減少などで統合が避けられなかったことが挙げられる。
伝統校だけにOBが多く校名を残すために一部で署名活動もあった。ただ統合相手校側の思いを配慮する必要もある。それにしても工業高生徒減は日刊工業新聞としては見逃せない。「若者よ、モノづくりはいいぞ!」とちょっぴり叫びたい。