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GEが狙う60兆ドル「産業用アプリ経済」とは

コンシューマー・アプリの「規模」はやがて小さく感じられるようになる
 2015年9月29日、米サンフランシスコでのイベント「GE Minds+Machines」開催に際し、GE のグローバル・マーケット・インサイト部門の責任者でGEのチーフエコノミストを務めるマルコ・アヌンツィアータ氏がインダストリアル・アプリ経済について解説した。

マルコ・アヌンツィアータ語る


 インダストリアル・アプリ経済(産業用アプリ経済)は、人と産業機器とがよりスマートに連携して生産性を高めるためのいっそうシームレスな環境構築を促し、イノベーションに拍車をかけることになる。

 私たちはアプリの世界で生活している。日常生活にあまりに深く浸透しているので、それを意識することさえしなくなった。朝はアプリが起こしてくれ、またアプリは日々の睡眠の質も報告してくれる。街へ出かけるとき、レストランや映画の予約をするとき、体重や運動内容を記録するとき、友達に会うとき、音楽をストリーミングするとき、そして最新ニュースを見るときはいつもアプリを利用し、すでにアプリが生活そのものになっている。

 今、機器類がこのゲームに参加しはじめた。産業界ではオンラインの高速化が進んでいて、ビッグデータは実際に巨大化している。ジェットエンジンは1回のフライトで1テラバイトのデータを残す。ガスタービン、風力タービン、鉄道線路、医療機器も、莫大なデータを生成し始めている。2020年には500億もの「モノ」がインターネットに接続されると言われているが、こうして増え続ける相互接続デバイスは、産業資産になるだろう。

 産業機器も、相互接続されれば私たち人間とまったく同じような行動をとる。機器類だって、自分たちの健康増進、自発的な食事の摂取、互いの親交など・・・何をするにもアプリを活用することになるだろう。これはマジメな話だ。

 GEはすでに、風力発電ファームの総出力を最大化するために、風力タービンたちが互いに対話しながら風の変化に応じてタービンブレードのピッチを自律的に変更調整できるアプリを持っている。チームワークを、インダストリアル・アプリによって形成するのだ。たとえば、GEのアプリはジェットエンジンに燃料消費をいかに減らすかを伝えてくれる。ガスタービンの健康状態を継続的にチェックし、不具合の発生時期を予知するアプリ、それを利用することで私たちは故障を未然に防ぎ、事前に整備を行うことができる。

 医師や看護師は、より効率的な診察・処置の計画を立てられるようになり、リアルタイムな連携が可能になることで、より迅速に、患者さんの診断結果に応じた治療や処置を行うことができるようになる。

明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
GEがOSや接続規格なのでデファクトをとります!という宣言。現実味は高いが日本勢はようやく役所、産業界で話し合いましょうという感じで、それでは負けるのは当然。

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