コロナ検出で威力。物材機構がナノ構造活用の新技術

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透過型電子顕微鏡で撮影した新型コロナウイルス(NIAID-RML提供)

物質・材料研究機構の岩長祐伸(まさのぶ)主幹研究員らは、新型コロナウイルスなどの病原体やその免疫抗体の検出に使える蛍光増強技術を開発した。半導体基板表面にナノサイズの構造を施し蛍光強度を高める「メタ表面」を考案。特定波長の蛍光強度を2600倍にできた。検査キットに応用すれば、血液1滴分に当たる50マイクロ―100マイクロリットル(マイクロは100万分の1)の試料で、準備を含め30分以内で検出できる。血液や唾液からウイルスや抗体を高速・高感度で検出する手法の開発が期待される。

新型コロナの検出に使われるDNAポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法などの検査方法は高感度だが数時間以上かかる。一方、インフルエンザ検出キットなどの簡易キットは30分以内の検査時間で済むが感度が低く、感度と検査時間はトレードオフの関係にある。

研究グループはシリコンウエハー表面の厚さ400ナノメートル(ナノは10億分の1)の二酸化ケイ素層上に、200ナノメートル厚のシリコン板をつけた基板を利用。シリコン板に一定間隔で直径300ナノメートル程度の穴を開け、表面全体に金を塗布。この構造をメタ表面と名付けた。

このメタ表面に蛍光分子「ローダミン」を塗布し、緑色のレーザー光を照射。平らなシリコン基板に塗布した場合と比べ、680ナノメートル付近の波長の光が2600倍の強度で発光することが分かった。

流路内にメタ表面を組み込んだ微細構造デバイスを作製。ヒトの体内で感染後長期にわたり多く生成される抗体「IgG」と蛍光色素を含む200マイクロリットルの液体を流し、レーザー光を照射したところ、抗体検出の証拠となる発光を確認できた。

日刊工業新聞2020年6月25日

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