ニュースイッチ

コンタクトレンズのメニコンが動物医療に乗り出したワケ

AI活用で獣医の診療補助
コンタクトレンズのメニコンが動物医療に乗り出したワケ

眼底カメラで撮影した犬の目の画像を基に、AIが異常所見の可能性を示す

コンタクトレンズのメニコンが、本格的に動物医療分野へ乗り出した。子会社のメニワン(名古屋市西区、本田朋章社長、052・325・3823)を通じて犬用眼内レンズやサプリメントなどの開発に注力する。2019年に獣医師の診療を補助するサービス「ファンダスアイ」を開始し、20年には犬用眼内レンズの新商品を発売した。

現在、特に力を入れる事業が眼内レンズやサプリメントと並び新たな柱として位置付けるファンダスアイだ。撮影した犬の眼底画像を取り込み、人工知能(AI)によって異常所見の可能性を提示する。眼科を専門とする獣医師が全国で30人しかいない中、診断を補助するサービスとして用意された。

「きっかけは盲導犬だった」。メニコンの田中英成社長は動物医療に乗り出した背景をこう語る。人の眼内レンズの技術を応用して、人の目となり働いてくれる盲導犬の助けになることができないかと考えた末に開発した商品が1997年に発売した日本初となった犬用眼内レンズ「メニわんレンズ」だった。

もともとヒト用の眼内レンズを研究開発していたメニコン。06年に興和(名古屋市中区)に事業譲渡したものの、研究は継続してきた。その成果もあって20年に疎水性軟性アクリルのシングルピールを使用した犬用眼内レンズ「メニワンテン」を発売した。犬用レンズもヒト用と同じ素材、構造に切り替えた。

メニコンは再生医療事業や妊活事業など、さまざまな分野で新規参入と撤退を繰り返してきた。そうした中で動物医療事業に関しては「ようやくビジネスとして成立しつつある」(同)と評価する。田中社長は自社の成長を持続していくため、今後も可能な限り新事業への参入と投資を継続していく姿勢を見せている。(名古屋・浜田ひかる)

日刊工業新聞2020年6月12日

編集部のおすすめ