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「数字」ではなく「行動」で評価するグラクソ・スミスクライン

四方ゆかり取締役人財本部長に聞く新制度の狙い
「数字」ではなく「行動」で評価するグラクソ・スミスクライン

取締役人財本部長の四方ゆかりさん

 ―医薬情報担当者(MR)の個人営業目標を廃止しました。
 「行動が評価軸。社内で優秀と認定されたMRにインタビューを行い、どのような行動をして結果的に数字に結びついたかを調べている。各MRはそれと同様の行動が求められる。医師の専門分野に関する薬や臨床の知識を持ち、それを的確に伝えることが必要だ。上司がMRに同行して評価している」
 
 ―数字で評価する方が客観的なのでは。
 「新制度では評価者の主観が出るので、MRからは評価スキルのバラつきがないようにしてほしいとの要望がある。数字は確かに黒白をつけやすい。だが成績をあげやすいテリトリーを担当するかどうかや、目標数値自体が妥当なのかという点で当事者は不満を持つものだ。今後は配属の運・不運はなく、やるべきことをやれば評価される」
 
 ―評価者の教育はどのように行いますか。
 「年に2回、(営業所長にあたる)エリア責任者が集まる合宿を行う。新評価制度、法令順守、リーダーシップなどを学ぶ。また当社は彼らも数字では評価しない。上司が数字を持たされていると、隠れて部下のMRに数字をあげるよう指導する可能性がある。これは(英本社を含めた)全世界共通の話だ」
 
 ―ダイバーシティー(多様性)を高めるための取り組みは。
 「薬を専門に学んできた人は大事だが、それ以外のものの見方も必要。今年入社のMRは半分強が薬学以外の出身だ。他業界から来た派遣MRもいるが、彼らは正社員を目指す前向きなエネルギーがあり刺激を与えてくれる。いずれにしても透明性を持って医薬情報を伝えるという当社の価値観に共感してくれる人を、人物本位で採用する」
(聞き手=斎藤弘和)
日刊工業新聞2015年10月6日付総合3面
神崎明子
神崎明子 Kanzaki Akiko 東京支社 編集委員
配属先の運・不運ではなく「やるべきことをやれば評価される」との一言には納得。それはMRに関わらずあらゆる職種に通じることだ。

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