薬剤使わず飛行を阻害!「虫フラッとシート」が生まれた背景

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「虫フラッとシート」の設置イメージ

デジタル社会やグローバル経済の進展で、中小・ベンチャー企業が優れた技術を生かして飛躍するチャンスが広がっている。近年の特許法改正で全ての中小企業を対象に、特許料を半減する制度が導入されるなど、知的財産を戦略的に活用しやすい環境が整備されつつある。知財経営を実践し、成長している企業の姿を追う。

ユニークなネーミング、独自技術で守り固める

小泉製麻(神戸市灘区、小泉康史社長、078・841・9341)は、経営戦略として知的財産を重視し、特許取得や「虫フラッとシート」などのユニークな商品名の商標化に力を注いできた。

「社内で若手社員が増加し、商品開発に携わる社員以外からも商品名の案を募り始めたことで、キャッチーなネーミングの提案が増えてきた。商品の特徴を端的に表し、特性を理解してもらう」と山沢富雄技術製造統括部長は狙いを明かす。

小泉製麻は2014年、薬剤を極力使わず害虫の生息数を許容範囲に抑える総合的病害虫管理(IPM)の考え方を取り入れた農業用資材の開発に着手。ビニールハウスの周囲などに敷き、虫の侵入を防ぐ「虫フラッとシート」を18年に製品化した。

紫外線を頼りに飛行するアザミウマなどの微小な虫に、異なる紫外線を浴びせることで薬剤を用いずに飛行を阻害する。ハウス内の通風性を確保できるだけの防虫ネットの目の大きさ(目合い)を確保しつつ、微小な害虫の侵入を防げる製織技術で特許を取得した。

山沢氏によると「業界では従来、同じ商品が30年程度市場流通するケースが多かった」とした上で「近年は顧客ニーズの多様化で商品サイクルが短くなる傾向。企業間の競争を優位に進めるため知財保護に力を入れる」と強調する。

社是に「至誠協和 創意開発」を掲げる。顧客ニーズに合わせて製品開発や生産を進めてきた。独自技術に対する“守りの戦略”として知的財産権を活用する方針だ。(随時掲載)

■メモ■1890年(明23)6月設立。農業用資材や、フレキシブルコンテナバッグなどの産業資材を手がける。19年5月期の売上高は77億1100万円。

日刊工業新聞2020年5月21日

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