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台湾政府に学ぶ感染症対策のリスクコミュニケーション

台湾政府に学ぶ感染症対策のリスクコミュニケーション

蔡英文総統公式ツイッターより

大型連休が終わった。とはいえ緊急事態宣言の延長で、外出自粛は続く。政府や自治体による「要請」は国民の信頼が基盤。その源泉となるリスクコミュニケーション(リスコミ)は改善の余地がある。

国民にとって毎日の感染者の増減から危険度を把握するのは難しい。接触機会の8割削減で、いつまでにどのような効果が期待できるのか。具体的な説明があればモチベーションを維持しやすいはずだ。

新型コロナウイルスのPCR検査を絞っていたのは「医療機関に人が殺到して感染が広がる」ことへの懸念があったからだとされる。政府が一転して検査拡大を打ち出したことも、結果としてあまり件数が増えていないことの理由も報道だけではよく分からない。

感染症に対するリスコミで参考になるのは台湾だ。2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の教訓を生かし、省庁横断で指揮監督する中央伝染病指揮センターを設置。毎日の会見で最新状況や管理体制の情報を公開する。国民の疑問に丁寧に答える広報活動が信頼の醸成に役立っている。

強制力を持たない日本の感染症対策は、諸外国に比べて弱気に映る。リスコミを充実して説明責任を果たし、国民の信頼を得てほしい。

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