NTT、核融合実験炉「ITER」と連携する狙い

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南フランス・プロバンスに建設中の全体図(NTT発表資料から)

NTTは、核融合実験炉(ITER)の実現を目指す国際機関「ITER(イーター)国際核融合エネルギー機構」と包括連携協定を結んだ。自社が掲げる次世代光通信基盤の構想「IOWN(アイオン)」における光関連技術を活用し、同機構を支援する。ITER実現には高度な情報通信技術(ICT)が必要とされる。NTTは支援活動を通じて重要な経験や知見が得られ、結果的にIOWN推進にもつながる可能性がある。

同機構はITERをフランス南部に建設中で2025年の運転開始を目指す。平和目的の核融合エネルギーが科学技術的に成り立つことを実証するための国際プロジェクトであり、日本や米国、欧州といった7極が推進している。ITER実現には核融合炉とコントロールセンターをつなぐシステムなど、ICTの検討が必要という。

ITER機構が日本の民間企業と長期的な非商用包括連携協定を締結するのは初めて。

日刊工業新聞2020年5月18日

ところで「IOWN構想」って何?

出典:日刊工業新聞2019年11月14日

NTTの澤田純社長は13日、2020年春に米インテル、ソニーと設立する「IOWN(アイオン)グローバルフォーラム」に65社が参加を検討していることを明らかにした。米マイクロソフトのほか、仏オレンジ、米ベライゾン、台湾の中華電信など海外企業が55社を占める。通信網から端末まで光を使うことで膨大なデータを迅速処理するIOWN構想に賛同する多数のグローバル企業が設立時に名を連ねそうだ。(取材=編集委員・水嶋真人)

「IOWNは二律背反する現代社会の概念をつなぎ、多様な価値観を認め合う社会を築くことができる」―。澤田社長は同日、都内での講演で、IOWN構想を提唱した理由をこう説明した。

澤田社長は現代社会は、インターネットの爆発的な普及でグローバル化が加速する一方、米中貿易戦争など保護主義の台頭で国家間の分断が表面化していると主張。あらゆるモノがネットにつながり情報が氾濫する一方、人工知能(AI)による情報フィルタリングで自分が好きな情報しか得ようとしない“二律背反”が加速していると強調した。

30年の商用化を目指すIOWNは、チップ間やチップ内のコア間の伝送に電子ではなく、光子を使った光半導体を機器に組み込むことでネットワークから端末までを光化し、電気制御の限界を大幅に超える情報処理能力を実現。あらゆるモノやヒトの情報をサイバー空間上で分析し、仮想世界を構築できる。これにより、二律背反の矛盾を許容しつつも双方をつないで合理的な議論を続ける世界を実現し、多様な価値観を認め合うことを目指す。

一方で、人の内面までもデータ化し、現実の人間と異なる経歴を持つ人間を仮想空間に作り出せるため、新たな倫理観も不可欠だ。NTTは京都大学の出口康夫教授らと、技術進化が生み出す世界と人が調和する新たな世界観を構築する研究を始める。IOWNグローバルフォーラムでは「社会・人文科学分野からの参加も呼びかける」(澤田社長)方針だ。

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核融合 ITER NTT IOWN

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