トヨタのサブスク「KINTO」が急拡大、顧客は誰だ?

KINTO・小寺信也社長インタビュー

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「KINTO」公式インスタグラムより

―自動車の定額利用サービス(サブスクリプション)「KINTO(キント)」の累計契約数が2020年3月時点で3150件と19年12月時点と比べて約3倍です。

「1月になって急に大きく伸び始めたが、考えられるのは1月で車種をほぼフルラインアップに拡充したことだろう。19年7月のサービスの本格的な立ち上げ以降、訴求活動が浸透し始め、キントが認知されるようになってきた」

―具体的に取り組んだ点は。

「販売店にスタッフを常駐させ、日々のお客さまとのやりとりを見ながら、販売促進ツールを作ったり、勉強会をしたり、地に足をつけた活動をしてきた。ウェブで見に来てくれたお客さまからはさまざまな反響があり、それに合わせて中身を作り替えてきた」

―今後の展開は。他社もサブスクリプションに参入しています。

「(5月下旬開始予定の)5年、7年プランは期間を長くし、よりお買い求めいただきやすい価格設定にした。他社との差別化以前にこうしたサービスが各社から出てきてうれしい。まずはこうした買い方があることを知ってもらうのが大事だ」

―全車種併売が始まった販売店の収益拡大にキントはどう貢献できますか。

「結局フタをあけてみないとわからない。驚いたのは、申し込みの全体の3分の2がウェブから入ってくる。その前保有車をみると他社の車が多かったり、車自体を持っていなかったり、販売店が捕まえられなかった領域だ。それ自体が収益にプラスになる。(サービス用に購入した車の契約期間が終わる)3年たって販売店に返した時に、販売店の小売り力にもよるが、中古車として『おいしい』と感じる販売店もいる」

―ウェブ経由で注文した顧客データを販売店に提供するデータビジネスの可能性は。

「データ売りではあまりビジネスになると思っていない。データを使い今までと違う車の売り方を考える。最も知りたいのは、引っ越して車が必要になった、子どもができて今の車では小さいなど、お客さまが車を買いたい状況かどうかだ。販売店などにこうしたデータはない。当社はインターネットを活用し、より焦点を絞ったマーケティングができるのではないか」

【記者の目/手軽さ追求、短期間の需要も】

キントは車離れが指摘される若い世代などの新たな需要開拓が期待されている。多様化するニーズに対応していくには、きめ細かく幅広いサービスの構築が重要になる。価格を抑えるなどの手軽さの追求は欠かせない。試験的に取り組んでいる中古車でのサービスは解の一つになるだろう。契約期間については、1年未満などの短期間のプランも需要はありそうだ。(名古屋・山岸渉)

KINTO社長・小寺信也氏

日刊工業新聞2020年5月15日

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