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摘みたての生花の新鮮さを長期保存する「プリザーブドフラワー」加工の技

新工場・新工法で品質向上
摘みたての生花の新鮮さを長期保存する「プリザーブドフラワー」加工の技

プリザーブドフラワーの第3工場。タッチパネルで液の入れ替えが順次可能

大地農園(兵庫県丹波市、大地伹社長、0795・77・2311)は、バラなど各種植物を高度な独自技術で加工し「プリザーブドフラワー」として製造販売する国内トップ企業。ドライフラワーと合わせた販売は世界トップ3の一角。ドライフラワーの長持ちする花の特徴を生かしつつ、摘みたてのようにみずみずしい生きた花の新鮮さを長期間保存できる。ギフトや教室、店のディスプレーなどに使用されている。

能力1.5倍に

プリザーブドフラワーの売り上げ拡大が業績に寄与し、中小企業経営革新計画が承認された2015年5月期の売上高は28億6700万円と伸長。さらなる生産能力増強や効率化、品質向上のため経営革新計画を策定、承認を受けて日本政策金融公庫神戸支店から「新事業活動促進資金」の設備資金を調達できた。これによりプリザーブドフラワー加工の第3工場を本社敷地内の他工場隣接に建設、16年3月に稼働した。

第3工場稼働によりプリザーブドフラワーの生産能力は従来比1・5倍に拡大。同時に漂白、染色、油脂注入作業を改善させる新しい生産方式を導入した。新生産方式では原料の摘み取った花をコンテナで移動させることなく、各作業を一つの槽で漂白などに必要な液体の入れ替えが可能になった。

欧米市場に力

従来法は色を抜くため漂白槽に沈め、コンテナを引き揚げて洗浄。染色する液体の入った槽に再びコンテナを沈め、引き揚げて乾燥させていた。この方法ではコンテナを引き揚げる時の液体の流圧で微妙な花びらの歪みや損傷、品質基準に満たない製品が発生するケースが起きていた。

大地社長は「流圧をなくし一層の品質向上を実現した。壊れやすい繊細な素材の加工もできるようになった」と強調。作業員も製造ライン別に必要だったが、タッチパネルで各液体の注入と排水を一人でできるようにし、人員を減らした。これにより19年5月期の売上高は約33億円と過去最高を達成した。

中国や韓国、台湾など世界十数カ国で販売し、今後は欧米市場を強化。欧米で好まれる大きめのバラなどニーズに応じた花を投入する。「葉や枝など植物のグリーン系のプリザーブドフラワー加工製品のラインアップを拡充する」(大地社長)。設備投資により木の香りがするインテリア用など新市場開拓を目指す。(神戸総局長・香西貴之)

日刊工業新聞2020年5月15日

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