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eスポーツを加速させる「NINJA」、最高峰金属マウスパッドの技術に迫る

eスポーツを加速させる「NINJA」、最高峰金属マウスパッドの技術に迫る

マウスを動かす時の素早い動きが「まるで手裏剣を投げる様」だったため「NINJYA」という単語が思いついた

「NINJA RATMAT」は冷間プレス金型材料として使用される熱処理済み高級特殊鋼、「MASTハードンプレート」を活用した「eスポーツ」専用のマウスパッド。独自の表面処理技術で「滑る」「止まる」ときの摩擦力を極限まで低減し、素早いマウスの動き・反応を実現している。開発したのは金型材料の開発と販売を手がける竹内型材研究所。同製品はインターネット上でも話題となり、高額商品にも関わらず、2019年10月からすでに百枚程を売り上げている。

硬く・薄く・平面にする技術

「eスポーツ」は、複数のプレイヤーがコンピューターゲーム上で対戦すること。それぞれがキャラクターを素早く操作し、攻撃しあってポイントを稼ぐ。現在世界中で多くのプロプレイヤーが誕生し大きな賞金をかけた大会も頻繁に開催されている、新しいスタイルのスポーツだ。目にも留まらぬ速さでマウスを操りプレイする様子をたまたまインターネットで見た、同製品のプロジェクトマネージャーである永廣知史さんは閃いた。
 「あのマウスパッドに『ハードンプレート』の技術を流用できるのではないか?と思いつきました。弊社の硬く・薄く・平面にする技術でつくったプレートは何万ショットのプレス加工と摩擦に耐える素材。特に超高精度・高精密な平面度と平行度はJIS 1~2級定盤レベルで、マウスもスムーズにコントロールできるはず」。

超高精度・高精密な平面度と平行度はJIS 1~2級定盤レベルで、マウスもスムーズにコントロール

課題となった表面加工の選択

早速製品開発に取り掛かったが、一番苦労したのはマウスの「滑り性」「止め性」「センサの反応性」を最大限に出す表面加工を割り出すこと。マウスパッドにはマウスがセンサで自身の位置を把握する番地代わりの「模様」が必要。ただ綺麗な表面では意味がない。そこで「ハードンプレート」に精密金型部品で用いられる「研削 アヤメ加工」をはじめとした工程を施した上、20個以上のマウスを買い集め実際に使用。摩擦係数などをはかり、より良い加工や程度を割り出す実験を続けた。その甲斐あって約1年で特性の違う「臨RIN」「兵PYO」「闘TOU」「者SHA」4つのマウスパッド開発に成功した。

NINJA-RATMATラインナップ

現在、専用のツイッターには全世界で1万人以上のフォロワーがおり、どうやら国内有名プロ選手も使っているようだが、永廣さんは「あえて広告塔になっていただくようなことはしていない」という。それは「ものづくり企業」としてのプライドだ。製品本来の魅力・性能を評価してもらいたい、という気持ちから、再研磨などのアフターフォローがすぐできるようそれぞれのマウスパッドには金型のようにIDとシリアルを入れた。長く愛用してもらえる名品作りを心がけている。

イベントの協賛にも挑戦

しかし、やはり今までのものづくりの世界とは全く違う顧客を相手にしていることは事実。さらなる知名度向上にも積極的だ。そこで3月15日にベルサール高田馬場で開催されたeスポーツの大会「R6祭」(レインボーシックスフェスティバル)の協賛企業となった。コロナウイルス感染拡大の影響で、無観客となったがインターネット上でのライブ配信も行われ多くのファンがイベントを見守った。同大会の優勝トロフィーとメダルのデザイン、製作も担当。特にトロフィーは「NINJA RATMAT」が上部に「刺さった」印象的なデザイン。優勝チームがトロフィーを持ち上げたり、RATMATを外して全面に掲げたりと、喜びの笑顔とともに十分なPRとなった。

商品自体を大胆に使ったトロフィー
 「製造業の受注フローとは違い、なんでもとにかくやってみてください、と良くも悪くも丸投げ。その分面白い、と思ったことにはすぐに飛びついてぐんぐん進めていく。eスポーツの業界のスピード感に圧倒されますが、それに慣れつつ、弊社だからできる良いものづくりをしたい」(永廣さん)。金型に長年向き合ってきた地道かつ妥協のないものづくりの精神が、新しい業界に打って出る武器となる。今後も製品のファン、そして企業のファン獲得を目指す。

㈱竹内型材研究所
〒259-1146 神奈川県伊勢原市鈴川6(金属プレス工業団地内)
特色がそれぞれ違う「臨RIN」「兵PYO」「闘TOU」「者SHA」の4種類を用意。ブランド名の「NINJA」は、「e-Sports」でマウスを操る際のまるで「手裏剣を投げるような」すばやい動作から着想を得た。62,000円(税別)~
雑誌「プレス技術」

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