AIで姿勢矯正?作業効率を上げる骨格分析システムの中身
日立建機は、IoT(モノのインターネット)を活用することで生産性改善のスピードアップ化に取り組んでいる。その一環として1月から土浦工場(茨城県土浦市)で導入したのが、人工知能(AI)を利用した画像認識技術活用システム。作業者の姿勢を自動判別し、体への負担の少ない作業方法の検討などに役立てる。
同システムは市販の単眼カメラで撮影した製造現場の映像から、作業者の姿勢を自動判別できる。日立産業制御ソリューションズ(東京都台東区)のAI画像認識技術2種類を活用した。
まず一つ目の技術で映像から作業者の骨格情報を抽出し、さまざまな生産設備の中から人のみを自動検出。次に二つ目の技術を使って、検出した人の姿勢がシステム上に設定した作業に適さない姿勢に該当するかを判別する。作業に適さないと判別した場合、画面上の作業者の部分に赤文字でアラートを表示する。二つ目の技術は、機械学習を重ねることで自動判別の精度が向上する。
土浦工場内の中型油圧ショベル組立ラインのブームなどを取り付ける工程で4台のカメラを設置し、実運用中の映像を姿勢分析作業に活用している。
毎日の映像データから作成されるリポートを基に、製造現場の管理者と生産技術のプロセス担当者、IoT担当者が参加する会合で同システムによって検知した確認を要する姿勢前後の映像と考察を振り返り、製造現場の改善の気づきにつなげている。
「口頭で言われるより映像で説得力が出る」(伯田誠生産・調達本部長)と手応えを感じている。これまでは管理者が気づいたら指導していた。
さらに同システムとは別に、2種類のカメラによる映像蓄積と振り返りシステムを段階的に設置。作業現場の映像を蓄積し、事故やインシデントなどを振り返るための仕組みも並行して運用を開始しており、より精度の高い改善活動を目指す。(松沢紗枝)