鴻海・シャープ「液晶会社」2期連続の大赤字、サムスン撤退とコロナ禍で風向きは変わる?

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堺ディスプレイプロダクト(SDP、堺市堺区)の2019年12月期の当期損益は196億円の赤字(前期は284億円の赤字)となり、2期連続で巨額損失を計上した。同社は台湾・鴻海精密工業と子会社のシャープが運営する大型液晶パネルの生産会社。新型コロナウイルス感染拡大で、世界的な景気停滞が懸念される中、一段の事業環境の悪化は避けられない状況だ。

SDPの19年12月期業績は売上高999億円(前期比10・3%減)、営業損益は71億円の赤字(前期は177億円の赤字)だった。

SDPはシャープの持分法適用会社。世界初の第10世代液晶パネル工場として注目を集めたが、過大投資が裏目に出てシャープの経営危機を招いた元凶となった。16年末に鴻海グループが株式の過半を握り、一時は業績を持ち直したが、シャープのテレビ販売が伸び悩み、再び経営難に直面している。

ディスプレー業界では、中国勢による攻勢が続いており、3月末には韓国サムスン電子がテレビ用の液晶パネルの生産から撤退する方針を明らかにした。

サムスン撤退により液晶の需給が引き締まるのはSDPにとって良いニュースだ。サムスンは過去、シャープからテレビ用液晶パネルを調達していた。一部報道ではサムスンが液晶パネルを鴻海グループに発注したと伝えられ、再び取引が始まる可能性がある。

シャープは、ジャパンディスプレイ(JDI)の白山工場(石川県白山市)の買収に向け交渉しているほか、21年度までに液晶事業を分社化する検討を始めた。シャープの戴正呉会長兼社長は19年7月に、SDPを買い戻して子会社化して8K戦略を強化する考えを示している。市況悪化で見送っていたが、韓国勢の生産縮小で子会社化計画を再開するとの見方もある。

とはいえ足元のテレビ市場は、新型コロナ感染拡大の影響で需要が落ち込んでおり、SDPが孝行息子になる日はまだ見えない。

(取材=大阪・園尾雅之)

日刊工業新聞2020年4月17日

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