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のどの炎症を自宅で確認、ウイルス早期発見で感染拡大防止に一手

スマホのコンバージョンレンズ開発
のどの炎症を自宅で確認、ウイルス早期発見で感染拡大防止に一手

スマートフォンのカメラに取り付けた「感染チェッカー」

スカラ(東京都新宿区、山本正男社長、03・3348・0181)は、スマートフォンのカメラに取り付けることでのどの毛細血管の炎症を確認できる特殊なコンバージョンレンズ「感染チェッカー」を開発した。医療機関にかかる前に自宅などで手軽にのどの毛細血管が拡張しているか確認できる。4月下旬の発売を目指しており、価格は2000―3000円を想定する。ウイルスに感染すると毛細血管が拡張し、のどが赤く見える。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、初期段階で感染に気づくことができれば、人に感染させるリスクは減る。早期治療も期待できる。

【血管の状態確認】

ウイルスは咽頭に感染し、呼吸器系疾患を発症させる。通常では粘膜の表面反射により咽頭の毛細血管を確認することが難しい。開発した製品は、独自の粘膜透過技術を活用しスマホ画像での確認を可能にした。咽頭後壁が炎症を起こしているか毛細血管の状態を確認できる。

【外出せずに判断】

ウイルスに感染したかの確認は粘膜を採取するPCR検査が行われているが、感染から粘膜にまで増殖するのは数日かかるといわれる。自宅などでのどの状態が確認できるため、症状の初期段階での療養といった早期行動への判断を行える。また、新型コロナウイルスの感染を疑い電話再診などを利用し外出せずに医師の判断を仰ぐ方法にもつなげる。

現在は感染したかどうかのみでウイルスなどの感染源の種類の特定まではできないが、特定も進める。順天堂大学と「新型コロナを含む呼吸器ウイルス感染症のスマホと人工知能(AI)による自己早期診断法の開発」として、共同研究を始めた。順天堂大学を中心とした医療施設で感染チェッカーを使い撮影した患者の咽頭後壁の写真や、医師が写真をもとに診断したデータの収集を始めた。

【データ集積】

今後は、収集した膨大なデータをビックデータとして集積し、個人が撮影した咽頭後壁の状態を、AIの画像解析によりウイルスの疾患特異性を判断できるようにする計画だ。

日刊工業新聞2020年4月8日

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