特殊すぎる「総合研究大学院大学」、認知度向上へ筋の通った学生支援策

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総研大は博士号取得の前後5年間の経済支援を計画する(神奈川県葉山町、同大提供)

総合研究大学院大学(総研大)は博士課程後期3年間と、博士号取得後の2年間に、学生の生活費年350万円程度を支援する制度を始める。四つの大学共同利用機関と連合体になる2022年度の実施を目指す。学生は各機関傘下の研究所で指導を受ける現在の仕組みに加え、研究者として雇用される。学位取得後は博士研究員(ポスドク)に切り替わるため、余裕を持って次のポストを探せる。同大にしかできない仕組みで志願者増につなげたいとしている。

総研大は、大学共同利用機関とその下の研究所などと一体的な大学だ。総研大が博士一貫教育による学位を授与するが、研究を通じた教育などは各研究所が手がける。「特別研究員」(仮称)制度は、大学共同利用機関などとの関係強化の連合体の新事業として立ち上げる。

特別研究員に採用された学生は、社会人学生として総研大に在籍する。博士号を取得後は学籍を離れ、残りの任期で研究員として働きながら、次の職を探す。1学年約100人のうち20人程度の支援を想定する。

学生がプロの“2重身分”を持つと研究面でのメリットも生まれる。産学共同研究への参加が容易になったり、国立極地研究所の南極越冬隊に入れたり、フィールド調査で海外機関の理解が得やすくなったりする。

似た仕組みとして日本学術振興会の特別研究員があるが、同大の場合は採用率が高く、留学生も対象とする違いがある。同大は現在も大学共同利用機関の予算支援により、リサーチアシスタント制度で学費相当の給与を払うなど余裕がある。新制度で他大学と異なるメリットが浸透すれば、知名度の向上も期待されそうだ。

日刊工業新聞2020年4月2日

COMMENT

山本佳世子
科学技術部
論説委員兼編集委員

博士学生に対する経済支援策は研究型大学それぞれで工夫しているが、博士号取得の前後を続けて支援するのは初めてではないか。博士号の学位取得の条件として、「筆頭著者となる論文が3本」など課せられることが多い。つまり、学生とはいえまさに研究者だということだ。それだけに今回の支援は筋が通っていると感じる。

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総合研究大学院大学

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