衛星打ち上げ数で業界ナンバーワン、スペースフライトを手に入れた三井物産の狙い

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宇宙空間を活用したサービス提供を強化(米SpaceX提供)

三井物産は、宇宙空間を活用したサービス提供を強化する。山佐(岡山県新見市)と共同で、米スペースフライト・インダストリーズから、衛星ライドシェアを手がけるスペースフライト(シアトル市)の株式を取得する。必要な許認可取得の上、6月までに買収を完了させる予定。スペースフライトは、2020年に12―15回のロケットの打ち上げで、30―80基の衛星を打ち上げる見込みだ。

三井物産ではモビリティー分野を成長分野の一つとして位置付けている。宇宙関連ビジネスでは通信、IoT(モノのインターネット)、エンターテインメントなどの需要を取り込み、事業拡大につなげる方針。

スペースフライトは世界各国のロケット打ち上げ会社と協業関係を構築。小型衛星を打ち上げたい企業にロケットの空いたスペースを紹介し、販売するライドシェアサービスを提供する。

累計で29回のロケット打ち上げを通じて271基の衛星打ち上げ実績があり、業界ナンバーワンの実績という。18年には世界17カ国・35社、64基の小型衛星を一度の打ち上げで実施した。これまでにALE(東京都港区)、キヤノン電子、米ハネウェル、米航空宇宙局(NASA)などがスペースフライトのサービスを活用している。

製造費が大型衛星の数百億円に対し、小型衛星は数千万円から数億円程度で済むとされる。小型衛星を活用して宇宙ビジネスへの参入を狙う企業を中心に、打ち上げ関連サービスの需要は増加することが期待されているため、事業拡大を目指す。

日刊工業新聞2020年4月3日

宇宙ビジネスに挑む・三井物産、打ち上げサービス本格化

ロケット・衛星マッチング

これまで宇宙ビジネスはロケットで打ち上げた衛星を活用し、通信・放送や気象状況の把握などの用途が中心だった。近年では小型化に伴う低コストでの打ち上げが可能になり、月面への資材・機材の輸送や有人宇宙飛行サービスの拡大が期待されている。

JAXAはISSからの超小型衛星放出事業の候補企業を三井物産などに決定(ISS日本実験棟「きぼう」から放出される超小型衛星)

米国の衛星産業協会(SIA)によると、2017年の宇宙産業の市場規模は約2686億ドル(約29兆円)で、このうち衛星サービスが1287億ドル(約14兆円)、打ち上げサービスは46億ドル(約4900億円)を占める。

数キロ―数百キログラムの小型衛星は「開発費が大型衛星の数百億円に対し、小型衛星は数千万円から数億円程度で済む」(三井物産戦略研究所技術・イノベーション情報部インダストリーイノベーション室の金城秀樹シニアプロジェクトマネージャー)ため、今後も打ち上げサービス関連市場は拡大するとみられる。

三井物産は、衛星打ち上げ支援事業の米国スペースフライト・インダストリーズ(米シアトル市)に出資している。同社は民間ロケットで空いたスペースに小型衛星を載せる「マッチング」サービスを展開する。

スペースフライトは世界各国の衛星打ち上げ会社と協力関係を構築しており、小型衛星を打ち上げたい企業に空いたスペースを紹介し、販売している。ロケットの開発会社にとっても、余剰スペースを減らすことで、打ち上げにかかるコストを削減できる。

三井物産においてもこの「マッチング」先となる販路開拓を進めている。重枝和冨モビリティ第二本部航空・交通事業部航空事業室室長補佐は「エンタテインメント関連や、宇宙空間で装置や部品がどのように動作するかを実証したい機械メーカーなどに提案していきたい」といい「5―10年先には規模感のあるビジネスへ成長させたい」(重枝室長補佐)と意気込みを語る。

三井物産は宇宙航空研究開発機構(JAXA)のISS日本実験棟「きぼう」からの超小型衛星の放出に関する事業者に選ばれており、衛星放出事業は今年度から本格化させる考えだ。宇宙空間の活用に向けた挑戦が続いている。

日刊工業新聞2019年8月1日

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