野村総研が日本初の発行、「デジタルアセット債」とは?
野村総合研究所(NRI)は、ブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用した日本初の「デジタルアセット債」と「デジタル債」を発行した。ブロックチェーン基盤を活用した社債原簿の管理と、従来型の社債では困難だった発行者による社債権者の継続的に把握できる。
発行したのは総額2500万円の第1回無担保社債(デジタルアセット債)と、同500万円の第2回無担保社債(デジタル債)の2本。払込日は3月30日。期限と利率はいずれも3カ月で年0・5974%。
デジタルアセット債は、社債発行手続きの一部を電子化する新開発のアプリケーション(応用ソフト)を利用した自己募集形態を採用。利息の支払いに代えて、利息(デジタルアセット)を投資家に付与する。社債原簿とデジタルアセットをブロックチェーン技術で管理することで、事務を簡素化できる。付与するデジタルアセットはNRI本社内にあるカフェで使用できる。
一方、デジタル債は証券引き受け形態を採用し、利息を金銭のみとする。デジタルアセット債と同様にブロックチェーン技術を活用して社債原簿を管理するとともに、従来型の社債と同様に流通市場を確保する。これにより従来型の社債では困難だった社債権者の継続的な把握などを可能にした。
デジタルアセット債を発行したのは、野村ホールディングスとNRIの共同出資会社のBOOSTRYのほか、野村証券、野村信託銀行、NRIを加えた4社。同社債の発行により、小口で個人向け社債をオンラインで販売する。併せて、デジタルアセットを付与することで、多様なリターンを付与した社債発行などで資本市場の発展に役立てる。
ブロックチェーン技術を活用したデジタルアセット債の発行はメガバンクも名乗りを上げているが、野村グループが先駆けた。今回の社債発行をひな型として、航空会社やコンビニエンスストアなど幅広い業種への横展開を図る。