NECがAI楽器で新しい演奏体験に挑むワケ

姿勢・視線で音楽奏でる「インクルーシブ楽器」

  • 0
  • 0
視線の向きで音を奏でるアンドケストラ・トランペット

人工知能(AI)を活用した新しい楽器が誕生―。NECは30日、AIで人の姿勢や視線を検知して、誰もが演奏できる「インクルーシブ楽器」を開発したと発表した。障がいのある人や楽器を弾けない人、楽譜を読めない人でも簡単な動作で演奏可能。子どもや大人はもとより、障がいのある人などが壁を越えて一緒に楽器を奏でる「アンドケストラ」と呼ぶ、新しい演奏体験に挑む。

開発した「インクルーシブ楽器」は、遠隔視線推定技術を活用して視線の向きによって音を奏でる「アンドケストラ・トランペット」と、姿勢推定技術を活用して音ごとに定義された姿勢をとることで音を奏でる「アンドケストラ・バイオリン」の2種。

音ごとに定義された姿勢をとることで音を奏でるアンドケストラ・バイオリン

いずれもNECのAI技術を活用。姿勢推定技術も新たに開発した。同技術は人の重なりが多い混雑環境下や、離れた場所から撮影された低解像度の映像でも、高精度で高速に人の姿勢を推定することが可能。肩や肘、腰といった間接点を検出して人の身体を特定し、人物のポーズを高精度に推定できる。

楽器の開発に当たり、障がいのある人も「インクルーシブアドバイザー」として参加した。すべての人に楽器を演奏する喜びを提供するプロジェクト「世界ゆるミュージック協会」からのアドバイスも得た。

今後NECはアンドケストラの技術向上を目指し、同社が推進する「インクルージョン&ダイバーシティ」の活動に役立てる予定。「AIの力で『できない』を『できる』に変える体験」(NEC)として、病院や介護施設などでのリハビリへの活用や、音楽やパラスポーツ(障がい者スポーツ)などのイベントへの出展などを検討していく。

日刊工業新聞2020年3月31日

関連する記事はこちら

特集