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Instagramをフル活用したブランディングが成長の鍵

文=尼口友厚(ネットコンシェルジェ CEO)バックパックのブランド「Herschel Supply」のエンゲージメント戦略
Instagramをフル活用したブランディングが成長の鍵

「Herschel Supply」のウェブサイト

 ブランディングの重要性について、そしてその方法についてこれまでブログで幾度となく言及してきた。ECサイトを運営しているみなさんはその重要性について分かってはいるもののどうそれを実践すればよいのか頭を悩ませている方が多いだろう。

 その方法のひとつとして、ソーシャルメディアを活用し、定期的に投稿することでエンゲージメントを高めていく、というやり方が主流になりつつある。今回はその中でも、日本でも浸透してきているInstagramをフル活用し、多くのフォロワーを得て認知度を高めているサイトをご紹介しよう。

 そのサイトの名前は「Herschel Supply」。
http://www.herschelsupply.com/
 2009年にカナダのバンクーバーにおいて設立された、普段使いから旅行用途まで、幅広く使える機能とデザインを備えたリュックを販売サイトだ。同サイトは製品の魅力のみでなく、Instagramで今利用したいと思っている人でなくとも参加しやすいコミュニティを作ることで人々の支持を得、64万人のフォロワーを持つことに成功している。
 
 リュック業界には自分たちが参入できる余地がある

 Herschel Supplyの創業者は、Lyndon Cormack(写真左。以下リンドン)氏とJamie Cormack(写真右。以下ジャーミー)氏。2人は兄弟で、リンドン氏は靴ブランドのVans(バンズ)の営業統括、ジャーミー氏はスポーツ、ファッション用品の流通を担うマーケティングの統括を務めていた。

 2人は長年営業やマーケッターとして働く中で、自分たちが欲しいと思うような美的センスのあるリュックが店にはないと感じていた。大手のメーカーが販売しているバッグには、スポーツブランドが販売しているスポーティーなバッグ、女性向けに販売されている高級感のあるバッグ、本格的な旅に向いている機能的なバッグなどがある。しかし旅と日常生活の両方に溶け込むような美的センスのあるリュックは見当たらなかった。

 2人はこのことを、「リュック業界には自分たちが参入できるマーケットがある」と捉え、2009年から自分たちで試作品を作りはじめた。ブランド名にはHerschelという名前を採用。これは自分たちの祖父母、父親が生まれ育った美しい自然に囲まれた人口30人くらいのHerschelというカナダの小さな村の名前を取ったものだ。またこのHerschelの村の職人が作るようなバッグをと、ノスタルジーを誘いつつも現代的なテイストも感じさせるリュックを目指し、シンプルで美的センスのあるデザインと、細部へのこだわりを追求した。

 2010年には完成したリュックを販売開始。顧客からの反応は想像以上に大きく、初年度で8000以上のバックが売れた。その後も売れ行きは落ちることなく、2011年には前年度比900%、2012年度には前年度比350%の売上を記録。また北米だけでなく、日本を含めたアジア各国、ヨーロッパ各国からも注文が入ったという。

 普段使いから旅や登山にも使える機能性とデザインで人気

 Hershcel Supplyの商品の価格帯は多くの人の手の届く、手頃な価格に抑えてあり、ダッフルバッグSutton Duffleは84.99ドル(約1万200円)、大きめのリュックLittle America Backpackは89.99〜169.99ドル(約1万~2万円。バックの色によって値段は異なる)、小さめのリュックHeritage Backpackは69.99ドル(約8400円)となっている。

 中にはユニークな機能を備えたものもある。ダッフルバッグのNovel Duffleはバッグの側面に靴を入れるための専用のスペースが用意されているバッグだ。このスペースは裏打ちされているので他の荷物に干渉することもない。

 またLittle America Back Packは内部にはコンピューターを収納する収納カバーや金属に傷がつかないようにするための裏打ちが施されているほか、スマートフォンを収容するポケットとそのポケットからイヤホンを出すためのホールがバックサイドにあり、機器の多く持つ人向けのリュックとなっている。

明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
フェイスブックはInstagramからECサイトへの誘導を可能にするなど日本で広告策の強化に動き出した。ますますInstagramから目が離せない。一方で今のインスタの世界観、雰囲気をどこまで守れるかも課題になりそう。

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