“子育ち”目線のリビング、こだわりの仕掛け

  • 0
  • 0
家族が集まりやすいように、床を低くした「ピットリビング」を導入した

積水ハウスは、キッズデザイン戦略を進めるに当たり、親の視点に基づいた子育てではなく、子ども自らが成長しようとする“子育ち”という考え方を重視した。このためスイスの心理学者、ジャン・ピアジェらの理論をベースに、感性と体、知性、社会性という四つの生きる力がどのように発達するのかを研究。日本の子供たちに合った発達段階理論を構築した。

独自理論では成人までを乳児期や青年期など六つの段階に設定。「各段階に課題があり、それを克服して次に移行する」といった仮説を基に、四つの力が発達する重要な時期をイラストなどで把握できるようにした。

例えば知性に関しては自主性は幼児期後期に形成され、児童期後期は、継続して努力するなどの「勤勉性・知的欲求が強化される時期」と定めた。感性は乳児期と幼児期前期が重要だと指摘し、リズム感がつくなど、感覚統合力が発達する時期と位置付けている。

また、8人の世界的な社会学者や児童心理学者による発達理論に関する考え方を、現代の日本人の考え方に合うような表現に換え、巨大なエクセル表にまとめた。

一連の取り組みを通じ「長く住むには、どういった工夫を凝らせばよいのか」という時間軸を組み合わせた空間づくりを目指していった。同社住生活研究所の河崎由美子所長は、この過程で「子どもを育てるには家族の存在が重要な役割を果たす」という考えにこだわったと強調している。それに基づき取り入れたのが、家族が集まる仕掛けだ。

具体的には「家族がつながりながら、それぞれの時間も楽しめるようにする」といった考えから、仕切りのない大空間のリビングを実現。その上で、人間は囲まれたくぼみがあると集まりやすいという習性に着目し、床を低くしたピットリビングを導入したり、逆に子どもが成長した後は適度な距離感を保てるように床を高くするプランを提案するなど、重層ゾーニングという手法を開発した。

段差のない空間づくりがユニバーサルデザインの手法だ。これとうまく共存する形で、今や同社のモデルハウスは子育ち目線のリビングが主流になっている。(松田雅史・デロイトトーマツベンチャーサポートMorningPitch・新規事業開発ユニット)

日刊工業新聞2020年3月27日

キーワード
リビング 積水ハウス

関連する記事はこちら

特集