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村田製作所のもう一つの強さ「オープンイノベーション」が価値を生む

キーマンが語るブラックボックスと対極の戦略とは

現在数社とプロジェクトが進行中。年明けに最初の成果が明らかに


 具体的な取り組みの一つにオープンイノベーション・セッションという活動がある。このセッションは1社5人前後で構成し、まず全体のゴール、活動計画などを決める。次にバックキャスティングで考え、年代・地域を決め、課題やニーズを徹底的に洗い出す。例えば、2020年の東京で何が必要か、といったことだ。ニーズを満たすためにどんな商品やソリューションがあるのか、アイデアを出し尽くす。

 このプロセスが大切だ。チームとしての一体感が生まれ、具体的に実働する段になった際に生きてくる。マーケティング活動としてみると、イノベーションマーケティングは3年から5年あるいはそれ以上の時間軸の中で、世の中の変化に対応するために、ビジョンを共有して一緒に考えていくというものだ。こうした活動は、初めて付き合う企業にいきなり話を持って行ってもなかなか実行はできない。

 まずは既存の商品を紹介し、次に先方が現在抱えている課題やニーズを満たすための技術、開発商品などを提案する。こうした営業やマーケティング部隊の活動と連携しながら進めることが必要である。オープンイノベーション・セッションのような取り組みを中心に、現在数社とプロジェクト的に活動を始めている。順調に進めば年明けぐらいに最初の成果を発表できるのではないかと期待している。
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
オープンイノベーションに取り組む企業が増えてきているが、原則は、最初の段階で自社の技術やノウハウ、戦略をオープンにすることになる。「オープン」というだけでに本来はこれまでつきあいがなかった企業も対象にしたいだろう。そうでなければ、従来の共同開発とあまり変わらないかもしれない。ただ、牛尾さんも指摘しているように「信頼」関係は重要なんだと感じる。スピード感とどう折り合いをつけるか。村田のような会社がどんどん成果を上げれば、他の日本企業も刺激になるはず。

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