【新型コロナ】国内旅行消費が月1.5兆円減、"移動自粛"で大打撃

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週末の観光地も客足は鈍い(15日、宮城県松島)

新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐために続いている“移動の自粛”が、運輸や観光に大きな打撃を与えそうだ。旅客需要の急激かつ大幅な落ち込みは、稼働率で利益を上げる固定費型のビジネスモデルにとって致命的。観光は近年、各地で訪日外国人客を取り込んで地域経済をけん引してきた。関連産業の裾野が広いだけに影響も広範囲に出そうだ。収束が見通せない中、財務体力が問われる持久戦の様相を見せつつある。(取材・小林広幸)

【未曽有の危機】

国内航空各社が加盟する定期航空協会は13日時点で、加盟社の2―4月の減収が約3000億円、5月までを含めると4000億円以上になるとの見通しを算出した。年間では1兆円規模の減収になる可能性もある。2008年秋、リーマン・ショック発生による減収が約3000億円であったことからも未曽有の危機と言える。

旅客数の下落には歯止めが掛かっていない状況。全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)の大手2社は4月も、国内線で計画比2割減、国際線で同7割減程度の規模を維持する計画。これでも、利益が上がる適正規模とは言いにくい。

この中で、ANAは4月以降に客室乗務員(CA)の一時帰休を計画する。29日からの羽田空港国際線拡大を見据え、大手2社は数年がかりで機材の調達や人材育成を進めてきた。大幅な需要増を期待していただけに、きわめて不幸なタイミングだとも指摘できる。

【予約7割減】

日本旅行業協会(JATA)によると、旅行会社各社の3、4月の取扱高ベースの予約状況が、前年比で約7割減っているという。国内の旅行消費額に当てはめると、1カ月当たり1・5兆円の減少に相当すると推定。地域経済に多大な影響が及んでいるとして、政府与党に、これを説明し、収束後の大規模需要喚起策を求めた。

観光庁の田端浩長官は、観光地が直面する厳しい現状に心を砕きながらも「今は観光資源の磨き上げに力を注いで(収束後に向け)準備してほしい」と呼びかける。一刻も早い封じ込めを優先しているため「感染リスクに配慮した旅行」を推奨することも難しい。

観光関連企業で構成する国際的な業界団体の世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)はパンデミックの影響によって全世界の観光産業で、1日当たり100万人の雇用が失われていると試算する。観光は中小の事業者が多く、国内でも事業者が事業を継続していけるように、資金繰りや雇用維持に向けた支援策が重要になってくる。

日刊工業新聞2020年3月26日

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