デスクワーカーのツボをついた商品づくり

　こうして作られたFoot Hammockは、「机の下のゆりかご」をイメージしており、ハンモック状の足置きを机の裏に設置して足を載せることで、好きな足のポジションや自分の好みの体勢を取ることができる。

　ハンモックと机をつなぐヒモの長さは調節可能で伸縮性もあるので、ハンモックの中で足を組んだりするのも自由自在。ハルム氏らゲーマーだけでなく、コールセンターや事務職など、長く机に向かう人たちに適した製品となっている。

　ハンモックの素材はメッシュタイプ29.99ドル（約3600円）、フリースタイプ39.99ドル（約4790円）。電源を入れると温くなる電気温め機能付きタイプ59.99ドル（約7190円）の3種類。色は8色から選ぶことができる。メッシュタイプは土足でも使用可能。フリースタイプはさわり心地がとてもよく、素足で使用するのに向いている。電気温め機能付きタイプは冷えに悩んでいる女性に向いているかもしれない。

　製品の取り付け、取り外しは簡単で、特許を取得した粘着性のフックがあらゆるデスクに対応。100ポンド（約45キロ）まで支えられる。デスクに強く粘着させているため一度設置すると手ではなかなか取れないが、バターナイフなどを使う事で容易に取り外しができるという。

　Redditをマーケティングやカスタマーサポートの場として活用

　同製品が成功する中で、一役買ったのが巨大掲示板のRedditだ。サイトの利用者たちがFoot Hammockの話題を取り上げると認知度が一気に高まり、結果としてラスベガスで開催された「CES2015」（消費者のための電気ショー）への参加が許され、多額の資金調達を得ることにもつながった。

　Redditは自分たちにとって貴重な場所だと考えたハルム氏は、自分たちがYouTubeにアップした動画へのリンクを掲示。すると視聴数が一晩で500から5万5000にまで伸びた。またRedditを製品に対するユーザーの満足度をチェックし、懸念に対応する場として活用、コメントがあれば36時間以内に回答するように心がけたという。

　ネット以外のメディアへも、自分自身で働きかける

　ハルム氏は自身で地元のプレスにできるだけコンタクトを取り、非デジタルなメディアにも積極的に露出していたようだ。そうした地道なメディア戦略の結果、オーストラリアのテレビ番組にも出演、この時にはわずか10分間で5000ドル（約60万円）売り上げている。テレビの力がまだまだ健在なのは、日本でも変わりないだろう。

　商品に共感してもらえる人に出会うために、メディアの力は欠かせない。ソーシャルメディアから電気ショー、そしてテレビ局出演。こうしたメディア露出の影には、新旧分け隔てのないメディアへの積極的な働きかけがあったからだろう。

　作って待つだけではない、攻めの姿勢こそが今のeコマースには欠かせなくなってきている。